2005年12月31日17時24分掲載
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レスビアンの傾向で高校退学処分に 女子生徒2人が学校を訴える
米カリフォルニア州ウィルドマーにあるキリスト教系の私立高校で、2年生の女子生徒二人が、レスビアンの傾向があると判断され、退学処分になった。学校側によると、レスビアンはキリスト教の精神に反し、非道徳的なもので、こうした生徒を“排除”するのは、他の学生を守るための学校の義務だとしている。これに対し、処分を受けた二人の生徒と両親がこのほど、退学処分の取り消しと損害賠償2万5000ドルの支払いを求めて州裁判所に訴えを起こした。(ベリタ通信=エレナ吉村)
女子生徒二人は、ルター派に属する高校に1年生の時から通っていたが、学校側は、二人がレスビアンの関係にあるのではと疑った。グレゴリー・ボーク校長は、新学期の始ったことし9月7日、校長室に別個に二人を呼び、レスビアンかどうか、相手を愛しているのか、などの質問をしたという。
この際、生徒がどう答えたかはわかっていないが、翌日、学校側は二人の両親に電話し、レスビアンの傾向を持った生徒は、この学校に在籍できないと、退学処分を通告した。驚いた家族は、校長に抗議したが、校長はその後家族に手紙を送り、退学理由を詳細に述べた。
手紙は「二人の生徒には肉体的接触は認められないものの、レスビアンの特徴を持った親密なつながりがみられる。そうした関係は非キリスト教的である」と指摘。こうした生徒を見逃せば、他の生徒が同じような関係に走る恐れがあるとして、退学処分を正当化している。
学校当局は10月に、家族からの処分取り消し申し立てを拒否した。このため、生徒と両親が12月下旬、高校と、その上部組織のルター派高校連合を相手取り、差別やプライバシーの侵害があったなどとして訴訟を起こした。
裁判では、宗教上の信念に基づく行為が、差別につながるかどうかが争われることになる。ある法律関係者は「宗教の自由と、差別されない権利との関係は、法的に、はっきりしない領域だ」と述べている。
一般に公立学校の場合は、州法の規定により性的傾向で生徒を差別したりすることは許されない。これに対し、私立の宗教系学校などは、独自の教育方針で運営されており、キリスト教のモラルと規範を守るのが入学の条件になったりしている。
一方、生徒側の弁護士は、二人の生徒がレスビアンかどうかについては、明らかにしていない。
二人は現在別々の学校に通っている。弁護士は「二人は他の友達とともに、(この学校で)最後まで過ごしたかった。二人のことはすべての学生が知ることになり、はずかしめを受け、学業を中断された」と話している。
性的傾向を理由にした退学に絡む訴訟は過去にも、カリフォルニア州で何度か起きている。2002年に15歳の女子高生が、レスビアンとの理由で、体育館から追い出された。
人権団体の全米市民自由連合(ACLU)が提訴し、03年和解が成立。学校当局は生徒に対し、和解金4万5000ドルを払うとともに、教師や生徒にこうした問題に理解を深める教育を施すことで合意している。
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