2006年01月11日01時39分掲載
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頭に銃弾、知らずに出勤 米男性、緊急手術で助かる
米フロリダ州で2005年12月末、53歳の男性が同棲中の65歳のガールフレンドから、就寝中に頭に一発銃弾を撃ち込まれたものの、明け方に目を覚まし、その後出勤していたという珍しい事件が起きた。男性はその後気分がすぐれなかったため、自ら病院へ行き、初めて頭の中に銃弾があるのを知った。直ちに緊急手術を受け、一命を取りとめたが、この間に女性は自殺してしまったという。(ベリタ通信=有馬洋行)
事件が起きたのは2005年12月末。コンクリート塗装会社の従業員グレン・ベターレイさんは午前4時半に目を覚ました。頭から出血が起き、顔は血だらけ。一緒に寝ていたエマ・ラーセンに何が起きたのか知っているかと尋ねたが、何も知らないとの答えが返ってきた。
風呂場に向かい、血痕を洗い落とした。その後身支度を整え、午前6時半に車で会社に向かった。しかし、頭からの出血が止まらず、気分もはっきりしないため、会社に「病院へ行く」とのメモ残して、自ら車を運転し病院の救急室へ。そこで医師から頭の中に銃弾があることを知らされ、摘出手術を受けた。銃弾は小型拳銃から撃たれたものだった。
病院の通報を受け、警察も捜査を開始。ベターレイさんの住所に急行する一方、自宅に電話。警察が、電話に出たラーセンから事情を聞いている最中、警察の受話器に銃弾の音が響いた。警官が自宅のトレーラー住宅に駆けつけたところ、ラーセンの遺体が発見された。警察では自殺とみている。
▽脳の血管は無事
ベターレイさんに撃ちこまれた銃弾は左脳の前頭部付近から入っていた。病院の話では、頭の骨も一部砕けていたという。
頭に銃弾を受けるのは、致命傷になることが多い。1981年に起きたレーガン大統領暗殺未遂事件では、犯人のジョン・ヒンクリーが撃った銃弾が、ブレディ大統領報道官の頭に当たり、同報道官は一命を取りとめたものの、半身不随となり、公務の遂行ができなくなった。
しかし、脳が致命的な損傷を受けなければ、助かるケースもある。時折、頭にナイフが突き刺さったままの患者や、口径の小さな銃で撃たれた患者が病院に運び込まれるが、その際患者の意識がはっきりし、話すことにも支障がないことがある。これらがそうした例だ。
ベターレイさんの場合も、脳内の主要な血管が傷つけられなかったため、話したりする機能に支障が起きていないようだ。
事実、病室で頭に包帯を巻いたベターレイさんは、早速マスコミの応対に追われた。各種報道を総合すると、起床時に顔が血だらけだったが、特に気に留めなかったという。
またラーセンとの関係についてはうまくいっており、06年2月に結婚する予定だったと述べている。
事件が起きた前夜も一緒に食事をし、特にけんかもなかった。ただし、ラーセンは睡眠薬のストックがなくなり、ふさぎ込んでいたという。
2週間前には、ラーセンは自殺をしたいと漏らした。その際、ベターレイさんは、自殺したいなら、自分を巻き込まないでやってくれと話した。このためベターレイさんは、ラーセンが道ずれ心中を図ったのではないかと推測している。
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