2006年01月20日02時53分掲載  無料記事
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サンフランシスコは地震の備えに不安、3000人死亡の大地震から100年

  坂道の多い街並みで知られる米カリフォルニア州サンフランシスコ(人口74万人)。その港町を1906年に大きな地震が襲った。多数の死傷者が出るとともに、街中で火災が発生、黒煙が上空に立ち上った。あれから100年目を迎える。しかし、地震専門家は、巨大地震への備えは万全ではなく、サンフランシスコ湾付近を再び巨大地震が襲えば、大きな被害が予想されると警告している。(ベリタ通信=エレナ吉村) 
 
 サンフランシスコには、湾を挟むようにして、サンアンドレアスとヘイワードの二つの活断層が走っている。過去にもこの断層のずれで数多くの地震が発生している。 
 
 1906年4月18日午前5時12分(現地時間)、早朝のサンフランシスコは、マグニチュード7・8の巨大地震に直撃された。地震の揺れは、ロサンゼルスやカリフォルニア州北方のオレゴン州でも観測された。サンアンドレアス活断層が動いたものだった。 
 
 当時の市の人口は40万人。死者3000人、家屋倒壊などで避難した人は30万人に達した。 
 
▽耐震構造弱い建物 
 
 米紙ロサンゼルス・タイムズによると、1906年型の地震が再び起これば、サンフランシスコの代表的な棟続きの建物は、耐震構造が弱く、多くが倒壊する恐れがあるという。 
 
 同市では、中層の建物の一階がガレージになっているため、二階部分以上を支える強度に問題がある。こうした1階部分の強度が弱いため、押しつぶされるように倒壊する事例は、94年のロサンゼルス近くで起きたノースリッジ地震や、翌95年に日本で起きた阪神大震災でも報告されているという。 
 
 特に危険なのは、伝統的な街並みを残すダウンタウンの商店街や、坂道に建設され、一階がガレージになっている一般家屋などとされている。 
 
 ガレージの補修は、鉄骨の梁などを入れて、耐震能力を高めるものだが、費用は結構かかるため、放置している人も多い。 
 
 行政当局は、常に地震の備えを叫んでいるが、サンフランシコでは、1906年地震以来、多くの建物が倒壊せず持ちこたえているため、「運命の日」に対して鈍感になっているという。 
 
 事実、サフランシコでは1世紀の間、大きな地震もなく比較的平穏だったため、1906年当時に比べ、住宅の建築数が増えた。また土地が狭いため、活断層の近くや、液状化現象が懸念される地域にも住宅が建てられる状況になっている。 
 
 地震学者は、再び巨大地震が起きたら、数万戸が倒壊するほか、住宅が密集して建設されているため、火災が広がると警告している。 
 
 このため市当局では、緊急時には、隣接の自治体に対し、消防車の出動要請も行う準備を整えている。またサンフランシスコにある消火栓のホースの取り付けサイズが、他の自治体と異なるため、アダプター器具も既に送付してあるという。 
 
 霊界の人々と交信する能力で人気のある女性サイキック(霊媒師)、ルビア・ブラウンさんはTV番組の中で、2006年の占いとして、米カリフォルニア州では今後15−20年間は大きな地震はないと予想していた。 
 
 占いの予想が本当なら、当面は大丈夫かもしれないが、地震はハリケーンや竜巻と違い、前触れなく襲ってくるだけに、油断は大敵といえそうだ。 


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