2006年01月24日14時18分掲載
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米でも増える若者のホームレス襲撃 監視カメラ映像で容疑者少年2人判明、自首
米フロリダ州のフォートローダーデールで、ホームレス(路上生活者)の連続襲撃を行なっていた二人の若者が15日、警察に自首した。二人はホームレスの男性1人を殺害し、また1人に大怪我を負わせた容疑に問われている。このうち、一件のホームレス襲撃の模様は、現場となった大学構内に設置された監視カメラが克明に記録。この録画ビデオが、テレビ局のニュース番組を通じて放映された結果、インターネットのウェブサイトに「彼が犯人だ」と名指しする書き込みがあり、大きな反響があった。若者によるホームレス襲撃事件は米国でも増えている。(ベリタ通信=苅田保)
二人はブライアン・フックス容疑者(18)とトーマス・ドータリー容疑者(17)。二人は、今月5日深夜、マイアミに近いフォートローダーデールにあるフロリダ・アトランティック大学構内で、寝ていたホームレスのジャック・ピエールさん(58)をバットで殴りつけた。
二人が地べたを転がりながら逃げ惑うピエールさんをバッドで執拗に殴りつけるシーンは、監視カメラに収録されており、若者の姿や顔も映し出されてた。
米紙サウス・フロリダ・サンセンチネル(電子版)などによると、ピエールさん襲撃の監視カメラのビデオがマスコミに公開された後、警察には100件を超える情報が寄せられた。また自動車やカー・レースに関するウェブサイトに、容疑者の一人としてドータリーの名前が掲載された。警察がウェブサイトをモニターしていたため、犯人割り出しの有力な情報となった。
二人はこの襲撃の後、さらなる“獲物”を物色し、近くの公園で寝ていたホームレスのノリス・ゲイノアさん(45)を襲い、頭や胸をバットで殴りつけたことも判明した。ゲイノアさんは病院に運ばれたが、間もなく死亡している。
この二番目の襲撃事件には、二人の目撃者がおり、警察に対し、17歳のドータリーがゲイノアさんを殴りつけていたと証言。一気に殺人事件に発展した。
警察は二人の自宅などを家宅捜索し、バットなどを押収。二人は、州外の親類宅などに別々に逃げていたが、15日に別々に警察に出頭した。犯行の動機はわかっていないが、他に複数の共犯者がいる可能性もある。
警察は殺人罪として立件する準備をしているが、性差別や人種差別などを動機とした「ヘイト・クライム(憎悪犯罪)」を適用するかどうかは不明。
この二件の襲撃事件が起きた同じ夜に、別のホームレスが襲撃され負傷する事件が発生しており、警察は、この事件との関連性も調べている。
▽10歳の子どもの犯行も
米国ではホームレスに対する若者の襲撃事件が目立っている。サンセンチネル紙のコラムニスト、アルバジェームズ・ジョンソン記者によると、ティーンエージャーの少年たちが、ホームレスに石を投げたり、彼らを襲い、金を奪ったりすることも起きている。
ホームレスのクリストファー・サッブさん(33)は数年前、10歳ぐらいの二人の子どもに殴られた記憶があるという。麻薬を打っているため、防戦する力がなかったという。「数時間の後に気がついたが、何が起きたかわからなかった」とサッブさん。
あるホームレスの男性は、殺害されたゲイノアさんとは、3日前に彼が殺された公園で会ったと話す。気温の下がっていた深夜の公園で、誰に見取られることもなく、死んでいった同僚を悼んでいた。
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