2006年01月24日14時23分掲載  無料記事
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「プレイボーイ」発刊めぐり波紋 若者は興味津々、宗教界は反発 インドネシアで

  2億人近いイスラム教徒が暮らすインドネシア。世界最大のイスラム教徒数を誇るこの国で、セクシー女性のピンナップ写真が売り物の米の月刊誌「PLAYBOY(プレイボーイ)」のインドネシア版が近く、発刊されることになった。早ければ3月には登場する見込みだが、この突然の発刊ニュースに、保守的な体質のイスラム教団体などからは早くも、「社会に乱れを持ち込む、とんでもない話」との反発が飛び出している。(ベリタ通信=都葉郁夫) 
 
 中東地域のイスラム諸国などに比べれば、イスラム教が「国教」ではないことなどから、インドネシアでは女性の化粧や服装も自由。とはいえ、信仰熱心で、保守的な同教徒たちの参加する大規模なイスラム団体が隠然たる社会的影響力を持っているほか、最近ではカラオケクラブにも目を光らせ、過激な行動に出る原理主義組織の台頭も目立っている。 
 
 その中、同国のインターネットサイト「ドゥティックコム」が「インドネシア版プレイボーイが近く発刊」とのニュースを載せ、社会に衝撃を与えた。 
 
 同サイトによると、同誌の出版・宣伝を担当するアビアント・ヌグロホ氏は「出版許可を昨年11月末に取得し、今年3月までに創刊にこぎつけたい」と話している。 
 
 価格は5万ルピア(約600円)の予定で、これは他の月刊誌の価格に比べて2、3倍も高くなる。また、販売方法にも神経を使い、当初は契約購読形式にするほか、店頭販売も特定の書店でしか行わない予定という。 
 
 そうした中、最も関心を集めているのがその内容。つまり、インドネシア版も本家米国で出版されている内容と同様、女性のヌード写真などが掲載されるのかどうかだ。この点についてヌグロホ氏は「女性だけを売り物にするのではなく、読者のためになる内容にする」とだけしか語らず、具体的な企画は“企業秘密”として明かしていない。 
 
▽インドネシア女性モデル募集? 
 
 しかし、プレイボーイの現地出版社がインドネシア人女性を対象として、水着姿になる「モデル募集」を行ったとの報道も出るなど、どのような写真が創刊号を飾るのかに、インドネシア人男性らは早くも興味を寄せている。 
 
 これに対し、米国の性文化の象徴ともいえる「プレイボーイ」誌のインドネシア上陸に不快感と警戒感を強めているのが、会員数3500万人を誇る「ナフダトゥール・ウラマ」(NU)などのイスラム教団体だ。 
 
 NUのムザディ議長は同誌発刊のニュースに「発刊は大きな災禍をもたらす」と“最大級”の反発と不快感を表し、「発刊を控えるべきだ」と続けた。 
 
 発刊のニュースは、現在、ポルノ規制法案を審議中の国会にも衝撃をもたらし、イスラム系政党「福祉正義党」のユスロ議員は「インドネシア版はこの国の文化伝統に沿った内容にすべき」と釘を刺すと同時に、「米国版と同様の内容であれば、直ちに発禁運動を起こす」と強く警告している。 
 
 インドネシアではイスラム教の影響もあり、映画やテレビなどではキスシーンをはじめ、男女のきわどい行為は放映禁止で、出版物に関しても女性のヌード写真掲載はご法度となっている。 
 
 とはいえ、実際にはジャカルタの「秋葉原」と呼ばれ、中国人街コタに近いハルコ地区などでは、外国版のポルノ映画などを複製したDVDなどがほぼ公然と売られているほか、時には、地元の有名女優の入浴シーンなどを隠し撮りしたとされるDVDも出回るなど、国民の間にポルノに対する“免疫”がないわけではない。 
 
 プレイボーイの海外出版はインドネシアで18番目になるという。 


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