2006年01月26日02時46分掲載
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「米下院は共和党支配の農園」 ヒラリー議員の発言めぐり共和党が攻撃 夫人同士のさや当ても
ヒラリー・クリントン米上院議員(民主党、ニューヨーク州選出)が最近、米下院は共和党に支配され、まるで「プランテーション(農園)」のようだと発言し、波紋を広げている。米国の歴史では、アフリカ大陸から連れてこられた黒人奴隷が、過酷な労働を強いられた場所が、「農園」であり、人種差別を象徴する言葉でもある。こうした微妙な言葉を「比喩」として使って表現したことに対し、共和党側は反発。ブッシュ米大統領のファーストレディーのローラ夫人が「馬鹿げたコメントだ」と、元ファーストレディーのクリントン議員の発言に不快感を示し、夫人同士がさや当てをする事態にもなっている。(ベリタ通信=有馬洋行)
各種報道を総合すると、クリントン議員の発言は、17日にニューヨークのハーレムの教会で行なわれた公民権運動指導者マーチン・ルーサー・キング牧師の生誕記念日の会合で飛び出した。キング牧師は1968年4月に殺害された。
同議員は多くの黒人の出席者の前で、「下院は、まるで“農園”のように運営されている。そこでは、議論を行なうために異なった見解を持つものが、法案を提出するチャンスもない」と批判。
さらに「ブッシュ政権は米国政治の中で最悪の政権として歴史に残るだろう」と言い切った。
「農園」という言葉は、米国民にとっては南北戦争の原因になった奴隷制を想起させるもの。そこでは、綿花などの生産のために多くの黒人奴隷が自由も、希望もない状態で、粗末な家に住み、厳しい労働を強いられた。
下院は上院同様、共和党が多数を握っている。クリントン議員は、下院で少数派の民主党が、共和党から無視されている状況を「農園」という言葉を使って表現したかったようだ。
同議員が「農園」という言葉を使ったのは初めてではない。04年11月にも米CNNに対し、「下院はトム・ディレイ院内総務(当時)の管理する農園のようだ」と批判している。
ディレイ議員は強引な手法で、テキサス州の選挙区割りを変更したともいわれ、下院の実力者として知られた人物。ディレイ議員の選挙区割り変更は、下院で共和党議員が躍進する要因の一つとなったといわれている。05年9月には、区割り問題に絡み起訴され、院内総務を辞任している。
▽黒人上院議員からは擁護の声
04年の「農園」発言は、共和党から大きな反発はなかったが、今回は故キング牧師の生誕日での発言のため、いち早く問題視されたようだ。
ホワイトハウスも不快感を表明、またアフリカ外遊中だったローラ・ブッシュ夫人が、記者団にクリントン議員をたしなめる発言をした。
共和党の攻勢に対し、上院で唯一の黒人議員であるバラク・オバマ氏(イリノイ州選出)は「クリントン議員が言いたかったのは、米議会とホワイトハウスで共和党による権力の集中が進んでいるということ」と述べ、弁護している。
ヒラリー議員も発言を撤回する考えはないと強気の姿勢を示している。一方、ワシントン・ポストによると、1994年10月に共和党のニュー・ギングリッチ下院副院内総務が、当時の民主党の下院支配を「農園」という言葉を使って批判している。
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