2006年01月26日02時54分掲載
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ブッシュ政権の環境対策は自滅的 歴代EPA局長らが批判
ブッシュ米政権の地球温暖化に取り組む姿勢は自己破滅的だ──と、環境保護局(EPA)の6人の歴代の局長らが、ブッシュ政権の環境対策を批判している。元局長らは、ブッシュ政権が地球温暖化問題を無視していると指摘し、速やかに温室効果ガスの削減に本腰を入れるよう、注文をつけている。しかし、ブッシュ大統領は、地球温暖化は温度が上下する自然のサイクルによるものとして、積極的な姿勢を打ち出していない。(ベリタ通信=苅田保)
車などから排出される二酸化炭素(CO2)やメタンなどの気体は温室効果ガスと呼ばれ、こうした気体は、地表から熱が宇宙に逃げるのを妨げる性質を持っている。この温室効果ガスが増加し続けると、地球表面の温度上昇などが生じ、様々な自然災害を起こすとされている。
地球規模でこの問題に取り組むため、各国に温室効果ガスの排出量の規制を義務付けた京都議定書が2005年2月に発効した。しかし、01年に発足したブッシュ政権は、議定書から離脱し、独自の温暖化防止策を取ることを宣言している。
今月18日、ワシントンでEPAの歴代局長6人や現職のスチーブン・ジョンソン局長らが参加して、シンポジウムが開かれた。歴代局長の内訳は、共和党政権で務めたものが5人、民主党政権は1人。歴代局長のすべてが出席したわけではなく、一部は欠席した。
歴代局長らは、ブッシュ大統領が、温室効果ガスの規制に積極的な姿勢を取っていないと批判。共和党のニクソン、フォード両大統領に仕えたラッセル・トレイン氏は「これは世界にとって大きな災禍だ」と述べるとともに、「われわれはリーダーシップを必要とする。ただ、いつか何かをすると言っているだけでは、不誠実。自滅的だ」と述べた。
このほか別の元局長らからは「地球温暖化は緊急の事柄だ」「議論だけをしていても意味がなく、行動が必要」「環境保護グループや産業界は、意見の対立を超えて対策を講じる時だ」などの声が上がった。
▽温室ガスにホワイトハウスは耳傾けない
米紙オレゴニアン(電子版)は、EPAの元局長らに提言にもかかわらず、ブッシュ政権は、温室効果ガスの削減に関しては、依然耳を貸そうとしないと指摘。「ホワイトハウスは、気候変動は理論上の問題であるかのように行動している」と述べている。
米国は、温室効果ガスの4分の1を排出する世界一の国だが、ブッシュ大統領は排出規制をのめば、米国経済に影響が出るとして反発、京都議定書から離脱し、環境保護グループなどから批判を浴びている。
これに対し、ブッシュ大統領は米国の自主的な努力と技術開発などを通じて、温室効果ガスの削減を目指すとしている。
米紙ワシントン・ポストによると、現政権のスチーブン・ジョンソンEPA局長は、米国は2001年以来、200億ドルを研究開発費としてつぎ込んできたとブッシュ大統領を弁護。その上で、米国民に対し、二酸化炭素を排出する自動車の運転をやめろとは言えない以上、解決策は、温室効果ガスを削減するための技術開発に資金を投資することであると述べている。
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