2006年01月31日21時52分掲載  無料記事
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タイ南部騒乱の余波で売春婦がマレーシアに移動

【クアラルンプール31日=和田等】2004年1月からタイ南部では、断続的に発生している襲撃や爆弾テロ事件によって、1000人以上が犠牲になるなど不安定な状態が続いている。こうした中、タイ南部で性産業に従事する女性たちが、顧客の激減に耐えかねてマレーシア北部に移動している。マレーシアやタイの英語紙が最近報じた。 
 
 マレーシア北部と接するタイ・ナラティワート県スンガイコロクは風俗産業が盛んなことで有名だが、顧客の激減で売春婦らがマレーシア北部のケランタン州に駆け込んで営業しているという。 
 
 マレーシアの地元警察筋がニュー・ストレーツ・タイムズ紙語ったところによれば、ケランタン州のサイバーカフェや床屋の裏には売春用の仕切られた部屋があり、1回につき100〜300リンギット(約3000円〜9000円)で売春が行われている。 
 
 ケランタン州はイスラム教国の建国を党是に掲げる野党、全マレーシア・イスラム党が国内で唯一政権を握る州だ。州都コタバルは昨年10月、「イスラム都市」宣言をしたばかり。スーパーマーケットのレジにも男女別々のコーナーを設けるなど、イスラム教の教義が徹底されている。このため、タイからの売春婦の越境は波紋を呼びそうだ。 
 
 一方、タイの英字紙ネーションによると、タイ南部の観光業界の有力者も、地元にいた売春婦が多数マレーシアに移動しているのは事実と認めている。ただし、地元ホテルのオーナーで、ナラティワート県観光事業協会の会長を務めたこともあるサエントン氏は、タイの性産業従事者は機会を求めては定期的にマレーシアに行っているので、今回のような越境は新しい現象ではないと指摘する。 
 
 マレーシア人やシンガポール人の訪問者も多いハジャイがあるソンクラー県のツアーガイド協会の関係者も、「タイ人売春婦は過去10年以上にわたってマレーシアに行って商売をしている」と語る。売春婦たちは、越境を手引きする“密輸人”の力を借りて、一時的な定住資格の取得を含めた組織的な方法でマレーシアでの営業をしている、というのが同氏の見方だ。 
 
 タイ南部とマレーシア北部を自由に行き来し、国境での監視が無意味になる事態が起きていることは、「タイ南部の不安定な状態に終止符を打つことは簡単ではないだろう」(バンコクの観測筋)との指摘を裏づけているようだ。 


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