2006年02月01日16時50分掲載
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連続殺人鬼は元女子プロレスラー 高齢女性40人殺害の可能性も
中米メキシコで、高齢の女性を狙って殺人を重ねていた連続殺人鬼の元女子プロレスラーがこのほど、警察に逮捕された。自供では、これまでに4人の女性を殺害したとされる。しかし、警察では、その数は今後増える可能性があり、最悪の場合、40人近くになるとみている。女性は短髪で、プロレスで鍛えられた屈強な体つきをしており、警察は、一時は犯人は女性に性転換した男性と思い込んでいた。犯行を重ねた動機は、子どもの時に自分を見捨てた母親に対する恨みとされ、事実殺害された女性は、主として母親と同じ年齢層だったという。(ベリタ通信=江口惇)
各種報道を総合すると、この女性は、フアナ・バラサ(48)。首都メキシコ市で2004年以来、高齢の女性が絞殺されたりする事件が多発。警察では、犯人の行方を追っていた。
今月25日夜、バラサは住宅掃除の仕事を装って、メキシコ市の住宅街に住むアナ・マリア・レイエスさん(82)宅を訪問、アナさんが隙をみせた瞬間、持っていた聴診器のコードで絞殺して逃亡。途中、警官に逮捕された。
逮捕した二人の警官は、走る格好がまるで男性のようだったので、女性の格好をした性転換者だと思ったという。
警察に連行されたバラサは、少なくとも4人の殺害を認めている。警察の取り調べに対し、幼い頃、母親に見捨てられ、その後ある男性に引き取られたが、性的虐待を受けたという。この男性の間に娘も生まれている。
このため自分を捨てた母親に対して「強い怒り」を感じており、これが母親と同年代の高齢の女性を連続的に殺害する動機になったとされる。
犯行は、時としてソーシャルワーカーになりすまし、女性宅を訪問、バッグに持っていた聴診器のコードなどを使って殺害していた。
バラサは一時、「サイレント・レディー(寡黙な夫人)」という名前で女子プロレスで活躍していた。現在は、プロレス巡業の際に、会場にできる店でポップコーンの販売をしていた。
警察では、バラサを自宅を捜索し、死神を信奉する宗教集団「セイント・ムエルテ」の祭壇を発見した。同集団は、麻薬密売業者は犯罪者らに熱心な信者が多いとされる。この宗教集団と、高齢女性の殺人事件の関連性はわかっていない。
2000年以来メキシコ市では、高齢の女性ら10人が殺害される事件が起きているが、現場で採取された指紋から、警察では、バラサが事件に関与しているみている。またこのほかにも30人の高齢女性らが殺害される事件が起きており、これもバラサが関わった可能性があるという。
警察では、犯行の手口から、女性の格好をした性転換者の可能性が大きいと判断。昨年10月には、性転換者数十人を一斉拘束した。今回、バラサが逮捕されたことにより、性転換者の支援組織は、検察や警察の見込み捜査による性転換者の拘束に強く反発している。
同支援組織は、検察の最高幹部も、犯人は性転換者の可能性が高いとする発言をしていたとして、検察当局に対し、謝罪を要求している。これに対し、検察側は、今のところ、何の回答もしていない。
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