2006年02月12日10時30分掲載
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日中・広報文化交流最前線
相互理解へ多彩な活動 北京の日本大使館広報文化センター・井出敬二所長に聞く(1)
「政冷経熱」といわれる日本と中国の関係。両国間の交流が深まると同時に解決すべき課題も少なくない。誤解にもとづくトラブルもある。相互理解をつうじた友好の促進をめざして、日本政府がどのような活動をしているかは意外と知られていない。その最前線である北京で、日本大使館広報文化センター所長として多忙な日々を送っている井出敬二公使に、マスコミ情報などとはひと味違う最新の日中情報を紹介してもらう。同公使は中国のメディアにも積極的に登場している“日本の顔”でもある。(ベリタ通信)
● 北京の日本大使館の広報文化センターというのはどういう仕事をしているのか?
北京の日本大使館には、大使の下に、次席公使、総括担当公使がおり、部局としては、総務部、政治部、経済部、領事部、広報文化センターがある。広報文化センターは、広報全般(パブリック・リレイションズ)、マスコミ、文化、教育、青年交流、文化教育分野のODA、スポーツ交流等を担当している。中国と日本の様々な人々の間の交流が盛んになり、お互いに理解を深めるための仕事をしている。広報文化センターには、日本を紹介するために、日本の最新の新聞・雑誌50種類以上が読める閲覧室、また日本のビデオ・DVDが見れるオーディオ・ビジュアルルームもある。中国の一般の市民、学生さんが、日本についての情報に自由に触れられるようにしている。
● 広報というとどういう仕事か?
中国の様々な人たちに、日本を紹介し、理解を深めてもらうことが大きな目的だと考えている。そのために、日本大使館では日本語、中国語のウェブ・サイトを開いている。現時点では簡単な情報だけだが、英語のウェブ・サイトもある。大使館から様々な広報資料を作成し、中国国内で配布している。中国国内の大学などで日本についての講演会もよく開いている。
● マスコミ関係の仕事というのはどういう仕事か?
日本について客観的な報道が中国の新聞・雑誌などに出るように、中国のマスコミに日本についての正確な情報を提供し、また中国のマスコミからの質問に答えるようにしている。
また日本人ジャーナリストが中国国内で活動しているが、彼らに対して、中国での取材活動の側面支援をしたり、日中の要人の会見の冒頭の取材のアレンジなどをしている。
更に日本、中国以外のアジア、欧米、中東諸国等のマスコミも、日中関係に関心を持っているので、彼らにも、日中関係について説明をしたりしている。
● 文化関係では、どのような仕事をしているのか?
日中の文化交流が盛んになるように、関係諸団体と協力をしている。北京には独立行政法人国際交流基金の事務所があるので、同基金の文化行事を応援したりしている。たとえばJポップの音楽会開催、茶道・華道についての公演、琴・尺八の演奏会、文化関係者による日本文化についての講演会などを国際交流基金が主催しているが、大使館も側面支援している。
また中国の地方で、日本の文化が紹介されるように、尽力している。特に、中国の大学等で、日本文化を紹介する行事を開催するように、大学などと協力している。
日本から華道、音楽などの文化関係者が訪中される際には、大使館もお手伝いして、北京市内などで公演をして頂くように、中国側の大学などとの橋渡しもしている。
● 教育関係では、どのような仕事をしているか?
日中間の学生の留学交流がうまくいくように働いている。日本政府は日本政府の予算を使って、中国から留学生を日本に招いている(「国費留学生」と呼ばれている)。また中国の若者は私費でも日本に多数留学している(「私費留学生」と呼ばれている)。国費・私費あわせて、現在、日本にいる中国人留学生は、約8万人もいる。それ以外に、日本語学校で日本語を勉強している中国の若者も約3万人いる。逆に、日本から中国に、中国政府の予算により留学している学生も多数いる。このような留学生どおしの交流がうまくいくように、大使館も協力している。
また教員どおしの交流も行われているので、側面支援をしている。
広報文化センターには、日本の文部科学省から出向で来ている書記官一名と中国人スタッフ一名の合計二名が主に教育分野の交流を担当しているが、大変多忙である。それ以外に、日本に留学を希望している中国の学生さん達が大使館に相談によくやってくるので、留学について詳しい人に委託して、留学相談室を設けている。大使館には、日本の大学の資料を揃えており、日本への留学を考えている中国の学生さん達が自由に見れるようにしている。(つづく)
*井出敬二(いで・けいじ):1980年外務省入省。OECD日本政府代表部一等書記官、在ロシア日本大使館広報文化センター所長・参事官(報道担当)、外務省アジア大洋州局地域政策課長、経済局開発途上地域課長を経て、2004年2月より在中国日本大使館公使・広報文化センター所長(報道担当)。昨年12月に出版した『中国のマスコミとの付き合い方』(日本僑報社)は注目を集めている。
(本稿は、2006年1月31日、都内で行われた会合での井出敬二氏の発言を整理したものである。)
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