2006年02月13日13時58分掲載
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米の高校生は代数が苦手 落第点取るものが続出
米カリフォルニア州ロサンゼルスの高校生が、基礎数学の代数に手を焼き、落第する生徒が続出しているという。ロスの学校区教育委員会によると、必修の代数で落第点を取ったものは、高校を卒業できない決まりになっている。このため生徒の中には、卒業まで何度も代数の授業を取り直した挙げ句、失敗。遂には、「これ以上は無理」とばかりに、高校をドロップアウト(退学)する者も目立っている。(ベリタ通信=エレナ吉村)
ブッシュ米大統領は1月31日の一般教書で、米国が競争力を維持するためにも、理数過系に強い学生を増やす必要性を強調した。しかし、最近米紙ロサンゼルス・タイムズが特集した記事によると、代数の授業で落第する高校1年生が続出しているという。
代数は記号や文字を使って、方程式を解いたりするが、高校生は、こうした抽象的な勉強には苦手のようだ。ロスの学校区では、2004年に代数を学んだ高校1年生4万8000人のうち約44%が落第点の「F」を取ったという。
この数字は、英語で「F」を取る生徒の2倍にも上っている。代数で落第点に近い「D」を取った者も17%に達しており、ざっと61%の高校生が代数を苦手にしている状況が浮き彫りになっている。
LAタイムズ紙は、ロス学校区のバーミンガム高校の授業の模様をルポしている。同校では、代数などを落とした生徒を集めて補習の授業を行なっている。米国では、「F」を取った場合は、夏や春休みの間で、授業を取り直すことが可能になっている。
ガブリエル・オカンポさんは、同校の代数の授業で、連続して何度も落第点を取った。数式やグラフなどの理解ができず、高校卒業の年に、及第点が取れそうにもないのに嫌気がさし、高校を中退してしまった。
エルサルバドルからの移民であるアブラハム・レムス君(15)は「F」を取った後、母親が家庭教師をつけてくれたお蔭で、かろうじて代数で「D」を取った。一時は、数学のために自殺したくなるような気分にもなったという。
教師は、落第した生徒に対し及第点を取らせるため必死の努力をしているが、生徒の中には、宿題もやらず、試験の準備もしないものが多いと指摘する。
バーミンガム高校で、落第生に代数の特訓をしている教師は、時折雷を落とす。「君たちは何を考えているんだ。学校に来るからには、勉強し、注意を集中させるべきだ」。しかし、あまり生徒からの反応はないという。
高校生が数学を苦手とする原因は、はっきりしていないようだ。教育関係者の間では、小学校の教育の仕方に問題があるという批判から、中学校で代数の初歩を教えなかったためだ、など様々な意見が出ている。
一方、大学に入ってからも高校で必修の代数や幾何で失敗する学生が多いという。カリフォルニア州立大学ノースリッジ校では、小学校の教員を目指す学生の多くが、D」や「F」を取る事態も起きている。
大学2年のアレックス・ガンス君(19)は、数学で「D」を取った。大学で高校の数学の復習をするコースで勉強もしたが、効果はさっぱり。「あきらめている。自分は数学は苦手だ」と、ガンス君は話している。
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