2006年02月21日14時48分掲載  無料記事
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30年間隔で妻2人殺害のミステリー 夫は容疑を否認

  米カリフォルニア州南部で、ある主婦が夫の暴発した銃で死亡する事故が1973年に起きた。その時は不審な点はなく、この男性を取り調べた警察も事故死と判断した。それから30年が経過した2004年、この男性と結婚していた主婦が、変死する事件が起きた。検察当局では04年の事件の後、この男性の周辺で起きたミステリアスなケースを再検証した結果、二件ともこの男性が仕組んだ殺人事件と断定し、起訴した。しかし、弁護・被告側は容疑を否認しており、また犯行の動機も不明で、裁判で真相解明が実現するかどうか、関心が集まっている。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 米紙サンディエゴ・ユニオン・トリビューンによると、この男性は、ウィリアム・ニュー被告(58)。 
 
 1973年、同州サンベルナルディノ郡にある同被告のアパートで、妻のソムスリさん(29)が銃で頭を撃たれ死亡する事故が起きた。 
 
 同被告は当時、警察の調べに対し、ライフル銃の手入れをしていた際、オイルのため銃が手からすべり、銃が床に落ちそうになったので、それをつかもうとしたところ暴発したと供述した。 
 
 弾は、彼のそばにあるソファーで寝ていた妻のソムスリさん(29)の頭に命中し、妻は死亡した。警察は、この供述を信じ、事故死として処理された。 
 
 それから30年が経過。この事件は完全に忘れ去られていたが、2004年にニュー被告の周辺で似たような事件が起きたため、にわかに注目された。 
 
 同年10月、カリフォルニア州サンティにあるモービル住宅で、同被告の妻フィリスさん(58)が、他殺体で発見される事件が発生した。 
 
 同被告は警察に対し、同日妻の鎮痛剤を薬局に受け取りに行き、午前4時ごろ、自宅に帰宅したところ、室内が荒らされ、妻が頭から血を流し倒れていたと供述した。 
 
 薬局の監視ビデオには、薬を取りに来た被告の姿が映っており、一見アリバイが成立しているかのようにみえた。しかし、警察が過去の犯歴を調査する段階で、被告は、1973年の事件について、交通事故死したと矛盾する発言をし、疑いの目が向けられた。 
 
 関係者の話では、ニュー被告はフィリスさんとの間で、失業中の被告の再就職口が見つからなかったために、口論があったと証言している。 
 
 検察・警察が捜査を進めた結果、30年前の事件との類似点が見つかった。いずれも発射された弾は一発で頭に命中していた。このため、同じ手口で妻殺害を仕組んだ事件と判断、被告を起訴した。 
 
 1973年に殺害されたソムスリさんは最初の妻で、04年に殺害されたフィリスさんは三番目の妻。二番目の妻とは離婚しているという。 
 
 被告は、関係者の間では、これまで殺人などの前歴もなく、暴力を犯すような人物ではないと評されている。 
 
 被告の弁護士のゲリー・ギブソン氏は、「30年前の事件に関連付けて、殺人に問われた」と反発している。 
 
 また30年前に死体を検視した医師や目撃者が既に死亡しており、過去の事件の再審理は困難だと主張。これに対し、裁判所は、医師は証言はできないが、死体報告書がまだ残っているとして裁判には支障がないとしている。 


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