2006年02月23日18時30分掲載
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コンテナに中に高級車隠し米から密輸出 BMWなど総額6億円
慈善団体を装って高級車などを集め、それを船のコンテナの中に隠して海外に持ち出していた国際的詐欺団がこのほど、米カリフォルニア州ロサンゼルス警察(LAPD)によって摘発され、8人が逮捕された。人道援助を行う慈善団体を隠れ蓑にして巧妙に仕組まれた詐欺犯罪で、警察では1年以上にわたり捜査を続けてきた。他にも11人の逮捕状を用意し、共犯者の行方を追っている。(ベリタ通信=江口惇)
各種の報道を総合すると、摘発されたのは、同州グレンデールにある慈善団体「グローバル・ヒューマン・セービス(GHS)」で、逮捕されたのは21歳から57歳までのロシア人やアルメニア人。大半がロサンゼルスやバーバンクなど住んでいた。
GHSは、ロシアのほか、グルジア、アルメニア両共和国、それにヨルダンに人道援助物資を届ける非営利組織として同州に登録していた。しかし、これは表向きで、裏では、米国から高級車を海外に送り出すため、組織的に犯行を計画。
▽オーナーと結託、保険金詐欺も
具体的には、高級車を所有するオーナーたちと結託し、まずオーナーたちに慈善団体GHSへ車を提供させる。GHSは、こうした車を海外に持ち出すため、まず大型コンテナの中に、偽装用の仕切りを作り、その中に車を隠した。仕切りの外側には、人道援助物資と称して衣類や靴などを積み込み、税関当局の目をごまかしていた。
船が出発すると、GHSの指示で、寄付をした形のオーナーは警察に車の盗難届を提出。この結果、オーナーたちもまんまんと保険会社から保険金を騙し取ったとされる。送り出した車の中に盗難車が含まれていた可能性もある。
こうした手口で送り出された車は過去2年間で200〜400台に達している。車はBMWのSUV(スポーツ多目的車)やボルボのステーションワゴンなど最新モデルが多く、全体の車の価格は総額で500万ドル(5億8000万円)と推定されている。
2005年6月、米税関当局は、テキサス州ヒューストンで二つのコンテナの中から二台の高級SUVを発見した。車はコンテナの中に特別に作られた仕切りの中に隠されていた。仕切りの周りには靴が詰まれ、人道援助物資を運ぶふりをしていた。
LAPDはグルジア共和国の協力を得て、これまでに同国に到着していた車14台を回収している。
一方、カリフォルニア州南部では自動車窃盗が盛んになっている。特にロサンゼルスでは、05年に盗難被害に遭った車が2万6691台に達している。この数字は前年比6・2%の減少だが、これは自動車窃盗に対する警察の厳しい取り締まりの結果とされ、警察が手綱を緩めれば、再び窃盗件数が増える可能性は大きい。
LAPDは今回の自動車詐欺事件については、実質的には自動車窃盗と同種のものとみているようだ。特に、高級車を海外に持ち出す手口が巧妙化、大型化していることに注目している。
LAPDの責任者は「犯人たちはあらゆる形で資金を稼ぐために違法行為をしている。今回の事件も組織犯罪グループが関与しているのは間違いない」と話している。
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