2006年02月25日10時10分掲載  無料記事
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嫉妬から局部など狙い刺殺、米元会社員に有罪評決

  米カリフォルニア州サンディエゴ地裁の陪審はこのほど、嫉妬に狂って元妻の恋人である医師を刺殺し、殺人罪に問われた男性に有罪の評決を下した。4月に量刑の言い渡しが行われるが、最低でも禁固26年、最高の場合は、終身刑が宣告される見通し。この男性は、日本の古道である抜刀道の達人と称し、犯行時被害者の局部などを狙って攻撃していた。捜査当局では、局部を狙ったのは、妻を奪われたことへの報復を意味すると話していた。(ベリタ通信=苅田保) 
 
 この男性は地元の金融関係の会社に勤めるビリジ・バーゲス被告(31)。殺害されたのは、地元では不妊治療で定評のある医師ハバル・ラビン氏(47)。 
 
 米紙サンディエゴ・ユニオン・トリビューンによると、事件が起きたのは2004年。11月12日午前2時ごろ、ラビン氏の息子がサンディエゴ市内の自宅玄関に戻ったところ、玄関の外に血痕が付着しているに気付いた。外から家を眺めると、部屋の何カ所かで、電気がつけっ放しになっていた。その時、玄関の窓越しに黒いシルエットの人の影が動くのが見えた。このため家に入らず、警察に通報した。 
 
 警察が現場に急行し、駐車場にある折りたたみ式のはしごに寄りかかって死亡しているラビン氏を発見した。同氏は、首、背中、腹部、そして局部など5カ所を刺されていた。警察では、局部を刺したのは、明らかに男女関係に関する報復の可能性があるとして捜査を進めた。 
 
 ラビン氏は、バーゲスの妻だったビリアさんと2年越しの付き合いをしていた。ビリアさんは、ベリーダンスの踊り子のパート仕事をしていた。同氏が殺害されたのは、ビリアさんがバーゲスと正式に離婚した9日後だった。ラビン氏は離婚している身で、3人の子どもがあった。 
 
 警察は現場に残された黒い靴や室内の血痕が、バーゲンのDNAと一致したためバーゲスを逮捕した。バーゲスは自宅玄関前でラビン氏を襲い殺害した後、遺体を引きずって家の中に入り、駐車場に放置したとされる。バーゲンは抜刀道のほか、空手も黒帯に近い腕前だったという。 
 
 逮捕後、警察が自宅を捜索した結果、バーゲスがコンピューターを使い、ラビン氏の個人情報などを検索しているのを突き止めた。またコンピューターで「報復+不倫+法」と打ち込み、不倫に絡んで人に報復した場合、法律上どのような裁きを受けるかの検索をしていたこともわかった。 
 
 バーゲスの弁護人は、犯行時家にいたのはバーゲスではなく、元妻のビリアさんだったと主張。真犯人はビリアさん、もしくは現場で目撃されたシルエット姿の人物だと反論した。 
 
 事件後、警察がラビン氏の自宅に急行した際、家の中で漂白剤の臭いが漂っていたことが報告されている。明らかに家の中で何者かが、ふき取るための掃除をしていた痕跡があった。現場にあった電気掃除機からはビリアさんの指紋も見つかっている。 
 
 これは、ビリアさんが犯行現場にいた可能性を示唆している。しかし、ビリアさんは裁判所の証拠調べの段階でも、自分に不利な供述をすることを拒める合衆国修正憲法5条を盾に何度も証言を拒否している。検察当局もビリアさんを共犯者としては起訴していないため、ビリアさんの行動については不明のままだ。 


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