2006年02月26日10時19分掲載  無料記事
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日中・広報文化交流最前線

日本国憲法の中国語版配布も 北京の日本大使館広報文化センター・井出所長に聞く(3)

  日中両国間の友好促進のためには相互理解の深まりが前提となることは言うまでもない。とくに体制の異なる両国ではそうである。では日本のことを中国の人びとに正しく理解してもらうために、どのような活動が行なわれているのだろうか。北京の日本大使館広報文化センター所長、井出敬二公使に、日本情報の発信活動について聞いた。各種講演会とそれのウエブサイトへの掲載、さまざまな交流事業の紹介冊子、日中関係重要文献や対中国ODAの一覧表作成などともに、戦後日本のあり方を説明するうえで欠かせない文書として日本国憲法の全文中国語訳の配布も始めたという。(ベリタ通信) 
 
●日本大使館は中国の人にどのようにして日本のことを説明しているのか? 
 
 マスコミ、インターネット、講演会などの様々な経路を通じて、中国人に日本の事情・見方を説明するようにしている。日本大使館広報文化センターでは、中国の一般市民の人に向けて、日本の様々な人から、日本の事情等を説明する機会を定期的に設けている。これまで講演をしたのは、日本大使館員、日中双方のODA実施関係者、日本の学者(歴史、政治等の諸分野)、ジャーナリストやビジネスマン、そして日本に住んでいて様々な分野で活躍している中国人などである。毎回、この日本大使館での講演会を聴くために、地方から夜行列車に乗って上京してくる熱心な中国の一般市民もいる。これらの講演の記録(中国語)を日本大使館のウェブ・サイトに掲載するようにしている。 
 中国国内の大学でも、様々な講演会を組織している。日本から文化関係者などが訪中する機会には、お願いして、大学で講演をして頂いており、日本大使館がそのアレンジのお手伝いをしている。 
 
●日本大使館は、広報活動において、どのような資料を利用しているのか? 
 
 日本大使館は、中国の人に日本の事情、日中関係の動きなどを説明する際に、以下を含め、様々な中国語資料を配布している。 
 
(1)日中間の文化交流、青年交流などの動きや、ODA事業などを紹介するための日本大使館のニュースレター「日本の風」を、だいたい二ヶ月に一回作成・配布している。カラー写真をふんだんに盛り込み、楽しい紙面作りに心がけている。また日本の対中ODA事業の紹介、各種交流プログラム(青年交流、JET)の紹介も行っている。 
 
(2)日本の有識者の様々な論文・意見の中国語訳冊子「日本論壇」を年3,4回、作成・配布している。勿論、著作権の問題を処理した上で収録している。このような日本の有識者の意見も含め、中国語での日本からの情報の発信を更に増やしていきたい。この方面で、今後どのように効果的に作業をしたら良いか、日本の雑誌関係者達とも相談している。 
 
(3)1972年以降の日中間の歴史、先の大戦に対する日本政府の認識などを説明するために、日中間の重要な共同宣言・条約・共同コミュニケや、日本政府首脳の重要談話・演説等を収録した「日中関係重要文献集」(日中対訳)という資料を作成・配布している。この資料を読んでもらいながら、先の大戦、賠償問題、台湾などに関しての様々な疑問に答えている。また中国の発展を「脅威」とみなすのではなく、「機会」と「挑戦」として受け止めるとした小泉総理のボアオ・フォーラムでの演説も収録している。 
 
(4)戦後日本のあり方を説明する上で欠かせない文書として、日本国憲法の全文中国語訳を作成して、配布している。日本の平和主義、表現の自由、検閲の廃止、国家と宗教の分離などを中国人によく説明している。日中間で体制が異なることが、相手についての理解を妨げる要因にならないよう、日本の戦後の制度についての理解を中国人に深めてもらうための努力が引き続き大変重要だと感じている。 
 
(5)中国の経済発展への日本の協力に対する中国国内の理解を一層深めてもらうために、日本の対中ODA・プロジェクトの一覧表の冊子を2005年12月作成した。これは中国の各地方(省、各直轄市等)ごとに、日本からどのような援助を得ているかが一目で分かる。経済協力のプロジェクトとしては、無償資金協力、有償資金協力、草の根協力、文化無償、技術協力など様々な分野があるが、種類毎に分けている。ODAの一項目を一行で記載したが、それでも100ページ近い大部の冊子となった。中国人に渡すと、皆非常に興味をもって見てくれる。 
 
(6)日本の文化、社会等を紹介する雑誌「にっぽにあ」の中国語版を日本から送ってもらっており、配布している。日本の様々な様子を紹介する楽しい雑誌として、中国国内でも非常に人気が高い。 
 
(本稿は、2006年1月31日、都内で行われた会合での井出敬二氏の発言を整理したものである。日本大使館広報文化センターに連絡をすれば上記の中国語資料を送付するとのことである。資料は日本大使館のウェブ・サイト(http://www.cn.emb-japan.go.jp)にも掲載されている。) 


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