2006年02月28日10時23分掲載  無料記事
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米国で児童ポルノが社会問題化 ネットから消えない映像、被害回復されず

  米国でインターネット上での児童ポルノが、大きな社会問題になっている。最近は安価なコンピューターが市場に出回り、また接続料金の安いプロバイダーも増えている。このためインターネットユーザーが、気軽に児童ポルノにアクセスできるようになっている。児童ポルノは、かつては小児性愛の性的倒錯者らに限定された趣味といわれたが、今や誰でもコンピューター画面上に見える時代になった。子どもを性的虐待から守るため、児童ポルノをダウンロードするユーザーへの罰則を強化する動きも起きている。(ベリタ通信=苅田保) 
 
 米誌パレードなどによると、多くの児童ポルノの写真やテープ、それにDVDは、元々子どもの両親や、子どもの世話をする人たちの間で密かに撮影され、それが次々と業者に流れていくという。厄介なことに、いったん児童ポルノが公表されると、映像はほぼ永久的にネット上に残り続ける。 
 
 この結果、捜査当局が、オリジナルの写真を押収しても、児童ポルノは消えることなく伝播していく。児童ポルノの被写体になった子どもたちは、成人しても、ネット上で映像が残るため、引き続き苦しみを背負うことになる。 
 
 また違法な児童ポルノを販売した業者やユーザーの摘発も、音楽テープを違法でダウンロードするものの摘発に比べ、検挙率は劣り、しかも罰則もはるかに軽いのが実情だ。 
 
 米モンタナ州で2004年12月に元ガールフレンドを誘拐し殺害する事件があったが、犯人の22歳のライアン・フランデンバーグは、その後の警察の調べで、インターネット上で児童ポルノをダウンロードし、秘密ファイルを作って保存していた。映像は12歳以下の子どものもので、サディスティックなものを多数含んでいた。 
 
 米メイン州では、赤ん坊や幼児らを含む児童ポルノ写真を保持していたとして罪に問われたトラビス・ファーマー(25)はこのほど、司法取引で有罪を認めた。量刑は5月に言い渡されるが、最高10年の禁固刑か、25万ドル(約2900万円)の罰金が科される見通しだ。 
 
 2003年11月に取締当局は、ファーマーがインターネット上で児童ポルノをダウンロードしているのを突き止めた。彼の自宅のコンピューターから100枚の児童ポルノの映像などが見つかった。中にはベルギーからダウンロードした映像もあったという。 
 
▽「市場規模」は数十億ドルか 
 
 このように児童ポルノは、ネット上で誰にでも簡単に入手できる時代に入っている。各種統計では、インターネット産業の中でも急成長している分野で、「市場規模」は数十億ドルに達すると推定されている。 
 
 米国では1998年にロシアの孤児院から米国人の家庭に養子として引き取られた13歳の少女が、米国に到着したその夜に、養父から性的虐待を受けた事件が起きている。養父はその後、インターネット上で少女の写真数百枚を公開した。 
 
 養父は裁判で有罪になったが、少女の写真はネット上に残っているという。こうした事件を受け、米議会でも児童ポルノの法規制の動きが目立っている。現在提案されている法律案では、児童ポルノをダウンロードした者への罰則強化などを目指している。 


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