2006年03月02日14時23分掲載
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1億円の価値持つフェラーリが大破 時速190キロで電柱に激突
大出力のエンジンを搭載したイタリアの最高級スーパーカー「エンツォ・フェラーリ」(2003年)が無残な姿に──。今月、米カリフォルニア州西海岸のマリブで、スウェーデンの実業家が保有する赤のフェラーリが、ドラーバーの運転ミスから道路脇の電柱に激突、車体が真っ二つに割れた。100万ドル(約1億1700万円)以上の価値を持ち、かつ世界に400台しかない名車だけに、「もったいない」といった溜息が漏れている。(ベリタ通信=有馬洋行)
事故が起きたのは21日午前6時ごろ。太平洋に沿って走る「パシフィック・コースト・ハイウェー」上で、時速193キロ以上で突っ走るフェラーリが、道路脇の斜面に乗り上げ、電柱にぶつかって大破した。車体は中央で二つに裂け、付近に部品が散乱した。
米紙ロサンゼルス・タイムズなどによると、この車の持ち主は、携帯ゲーム機「Gizmondo」の元重役だったステファン・エリクソン氏(44)。同氏は、事故当時、車を運転していたのは、ドイツ人の知人である「デートリッヒ」と名乗る人物で、自分は助手席にいたと話している。
エリクソン氏は、このドイツ人は事故の後、現場から山中に逃げ込んだと警察に証言している。警察はヘリコプターなどを使い、付近を捜索したが、発見に至っていない。エリクソン氏は奇跡的に口に軽いけがをしただけ。警察が調べたところ、運転席のエア・バッグは開いていたが、エリクソン氏が座っていたと主張する助手席のものは開いていなかった。
このためエリクソン氏が車を運転していた可能性も否定できない。同氏からは運転ができない量のアルコールが検出された。目撃者の話では、フェラーリは、メルセデス・ベンツとスピードを競っていたという。
「エンツォ・フェラーリ」は12気筒660馬力で最高速度は時速約350キロといわれる。2002年から04年にかけて400台が限定生産され、当時は1台の価格は67万ドルだった。
うち400台目のフェラーリは、生前のローマ法王ヨハネ・パウロ6世にプレゼントされている。法王のフェラーリはその後、慈善事業に協力するため、オークションにかけられ、高値で引き取られている。
▽ゴッホの絵に匹敵する価値?
「エンツォ・フェラーリ」はその希少性から現在、中古で100万ドルから150万ドルの値がついているという。ある自動車保険関係者は、今回の事故で、中古価格が10万ドル値上がった、と話している。
事故現場のマリブは、ハリウッド俳優やトップ歌手が住んでいる高級リゾート地。この周辺でフェラーリを乗っているのは、人気俳優のニコラス・ケージらで、ゴシップ紙は、「芸能界のセレブが事故に遭った可能性がある」と、一時色めき立ったという。
米ビバリー・ヒルズに住み、フェラーリを所有している著述業のクリス・バニング氏は、今回の「エンツォ・フェラーリ」が修理不可能までに大破したことにショックを受け、「地球上で最も素晴らしい車の一つが破壊された。ヴァン・ゴッホの油絵が盗まれ、焼却されたようなものだ」と話している。
警察では、事故の詳しい状況を調べるため、フェラーリと競争していたとされるメルセデス・ベンツのドライバーの行方も追っている。
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