2006年03月03日08時35分掲載  無料記事
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少女を狙った男性を一網打尽に ウェブサイトでおとり捜査

 米国では少女を狙った性犯罪が絶えないが、最近インターネット上のチャットを使った“おとり捜査”で、少女との付き合いを目論んでいた19歳から51歳までの男性13人が、相次いで逮捕された。男性たちは、12歳から13歳までの少女をチャットをしていたものと確信し、落ち合う場所にプレゼント用の花などを持って訪れたところを次々と拘束された。逮捕者の中には、元ハイウェー・パトロールの警察官も含まれていた。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 おとり捜査は、米カリフォルニア州オレンジ郡の警察当局と、性犯罪者の摘発に協力しているグループが協力。このグループの中から40人がボランティアとして参加し、ネット上で未成年の少女になりすました。 
 
 若者に人気のあるウェブサイト「マイペース」が性犯罪者をあぶりだすおとりの舞台として借用された。男性たちは、最初は映画や食べ物の話をしていたが、その後自分の写真を送ったりした。その際、何人かは、自分が少女のデートの相手として年を取りすぎていないかなどと聞いたりしたという。 
 
 男性たちは、一連の過程で相手が少女だとすっかり信じ込み、性交渉を前提としたデートを約束するに至った。その際、偽の少女たちは、オレンジ郡のラグナビーチにあるアパートを訪れるよう男性に持ちかけた。 
 
 米紙ロサンゼルス・タイムズなどによると、男性たちは指定された今月18日に、捜査官が張り込んでいるとも知らず、勇んでアパートを訪れたところを次々と拘束された。中には取り乱して逃げ出す者もいたが、捜査官にタックルされ、取り押さえられた。 
 
 29歳の男性は、バラの花を持ってアパートを訪れた。12歳の少女が1人で待っていると思い込み、ドアをノックしたが、出てきたのは少女の母親を装った女性捜査官だった。母親が出てきたため狼狽し、この男性は、なぜ自分が12歳の少女と交際したいのか、必死で弁解する始末だった。 
 
 このほか、カメラや食べ物などを抱えてくる者もいたが、1人は覚せい剤を所持していたという。 
 
 捜査官を驚かせたのは、カリフォルニア州のハイウェー・パトロールの元警官(51)が含まれていたこと。警官として23年の経歴を持つベテランだった。 
 
 逮捕された13人のうち、何人かは保釈金を納め、釈放されたが、裁判で有罪となれば、最高で4年の禁固刑となる。男性たちは一見普通の感じで、性犯罪には無縁に見えたという。 
 
 オレンジ郡検察当局では、子どもたちを取り囲む環境の危険性を指摘し、子どもたちを性犯罪者から守るため「われわれは今、戦争状態にある」と言い切った。 
今回のおとり捜査でも、性犯罪者が、子どもの無邪気さ、孤独感につけ込もうとしている実態が改めて浮き彫りにされた。 
 
 検察当局は、ネット上で話す相手が、ひょっとしたら子どもではなく、警察官かもしれない、ということを性犯罪者が知る必要があると警告している。 
 
 カリフォルニア州では先月も、リバーサイド郡保安官事務所が、同種のおとり捜査を実施。国土安全保障省の係官や高校の教師を含む49人が逮捕されている。 


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