2006年03月07日19時13分掲載
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米で肝臓移植めぐり不祥事相次ぐ 待機順番を無視して手術も
米カリフォルニア州で肝臓移植手術をめぐり相次いで不祥事が発覚している。肝臓移植の順番待ちの最高位にいた患者を無視し、勝手に順番を変えて別の患者に移植手術をしていた病院には最近、民間の監視機関から厳しい譴責処分が通告された。臓器移植を待っている患者にとっては、1日1日が生との闘いだ。肝臓移植を行う医師が欠員となっているのにも関わらず、これを隠していた病院も明るみに出、患者、家族から批判の声が上がっている。(ベリタ通信=エレナ吉村)
米紙ロサンゼルス・タイムズによると、臓器移植の医療機関を監視する「臓器共有統一ネットワーク」は今月、ロサンゼルス近くで肝臓移植を行っていた聖ビンセント・メディカル・センターに対する譴責処分を公表した。従来、処分発表は内輪だけでやるのが通例だったが、今回は異例の公開発表の形になった。
聖ビンセントは肝臓移植などで著名な病院だが、2003年9月、同病院のトップ移植医リチャード・ロペス氏は、肝臓移植手術を待ち、予定リストの第一位になっていた患者Aさんばかりか、待機患者50人を素通りして、別の患者Bさんに移植手術を実施した。
移植手術を受けた患者はサウジアラビア人だった。その後、病院側は、予定リストの一位になっていた患者Aさんの名前を削除。しかし、Aさんに対して病院側は、依然予定リストの1位にいるとうそをついていた。Aさんは04年に死亡している。ロペス医師は職を解かれたが、不正行為は行われていないと主張している。
この問題は2年後に内部の医療監査で発覚。病院側は05年11月から肝臓移植を停止する事態になった。臓器医療の監視機関は、今回の処分で、聖ビンセントを“不適格会員”に指定した。改善努力と再発防止を確約しない限り、解除されない。
▽移植患者の死亡率上昇
ロサンゼルス・タイムズ紙によると、聖ビンセントでは、肝臓移植のほかに腎臓移植に関しても、移植患者の死亡率がここ数年、平均値より高くなっていると指摘している。
「臓器共有統一ネットワーク」によると、今回の処分は、すべての医療機関に対し警告の意味があるとしている。「患者の安全と国民の健康に対する重要性に関する強いメッセージだ」と同ネットワーク幹部は話している。
一方、大学系のUCアーバイン・メディカル・センターでも、肝臓の臓器移植を行うフルタイムの医師が欠員になっているのに、この事実を隠していた事実が発覚、波紋を呼んだ。この問題が表面化した後、病院側は05年11月、肝臓移植を中止した。
この間、臓器移植を待ちながら死亡した患者も出た。地元テレビによると、エロディ・アーバインさん(51)は、1998年から2002年までこの病院の待機リストに載っていた。病院からは、リストのトップに位置し、絶えず肝臓移植がすぐにも行われると言われ続けた。しかし、その後別の病院に移り、移植手術を受けた。
UCアーバイン病院で移植を待つ間、仲間の患者が相次いで死亡していくのを目撃したという。同病院をめぐっては、患者の遺族らが、病院を信じて移植を待っていたのに裏切られたとして、病院を相手取りこれまでに4件の損害賠償訴訟を提起している。
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