2006年03月16日19時11分掲載
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「英女王在位中は君主制」 豪首相が共和制移行時期に初言及
【アデレード16日=木村哲郎】オーストラリアのハワード首相は15日、英連邦競技連盟加盟の71カ国・チームが参加する、同連邦の“オリンピック”「コモンウェルス・ゲームズ」の開催に合わせた会見で、オーストラリアがエリザベス英女王を元首とする現行の「君主制」から「共和制」に移行する時期について、「女王在位中は君主制にとどまるだろう」との考えを明らかにした。
「在位中」との条件を示しながらも、「共和制」に慎重な姿勢を取り続けるハワード首相が、同移行時期の見通しに言及したのは初めて。
同競技大会が開かれているメルボルンの日刊紙エイジによると、ハワード首相は「エリザベス女王が王座におられるかぎり、オーストラリアはまず君主国制でいるだろう」と述べ、保守派の重鎮として共和制に常に反対している立場をはっきりとさせた。
その上で、チャールズ英皇太子が王座へ就いた場合はどうかとの質問に、首相は「それは国民が判断することで、私は民主主義を支持している。今言えるのは、女王の在位中、この国が共和制に移行することはまずないということだ」との見解を示した。
地元の民放TV・チャンネル9がこのほど行った世論調査では、57%が英国から「独立」し共和制へ以降すべきだと回答した。また、来月21日に80歳となるエリザベス女王は公式任務の多くをチャールズ皇太子に譲り始めていることから、ハワード首相の言う「民主主義」に則るのであれば、オーストラリアは今すぐにでも共和制へ移行すべきとも意見もある。
エリザベス女王はオーストラリアの国家元首だが、首相の任命による女王代理の総督が連邦と各州におり、実務を元首に代わって行っている。また、オーストラリアのパスポートや旧5豪ドル札と全硬貨にもエリザベス女王の肖像画があるが、国家元首はオーストラリアを代表するオーストラリア人であるべきだとの声が出ている。
君主制派の一般市民も、女王への忠誠で共和制に反対している者は少数派で、共和制移行により、オリンピックと並んで関心の高いイベントである「コモンウェルス・ゲームズ」への参加権を失うことを気にしている者が多い。
またオーストラリアは、アフリカに在外公館が4カ所にしか設置されておらず、大使館・領事業務をカナダなどに委任しているため、外交分野だけではなく、海外で働きあるいは旅行する同国民の利益などを考慮し、君主制下で英連邦に加盟し続けるべきだとの声がある。
これに対しオーストラリア政府は、共和制への移行後もこの2件についての影響はなく、「コモンウェルス・ゲームズ」の参加やカナダ大使館の利用などは変わらないと公式に発表をしている。
一方、15日の「コモンウェルス・ゲームズ」の開会式では、1984年に制定されたオーストラリア国歌「アドバンス・オーストラリア・フェア」が斉唱されたほか、式典ではオペラの一部として英国歌「ゴッド・セーブ・ザ・クィーン」が使われた。
民放9チャンネルは先の世論調査で、「ゴッド・セーブ・ザ・クィーン」が競技大会の開会式で歌われるべきか」とも質問、回答はイエスとノーが半々に分かれた。
なお、84年の国歌制定以前、オーストラリアの国歌は「ゴッド・セーブ・ザ・クィーン(キング)」だった。
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