2006年03月20日16時49分掲載
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米医療スタッフ、入院中の重症の子どもに性的いたずら 内部犯行に病院側は絶句
子どもへの性的虐待には極めて厳しい立場を取る米国で、親たちを愕然とさせる事件が発覚した。米カリフォルニア州にある小児病院で、ほとんど動けない重症の9人の子どもたちが、男の医療スタッフに性的にいたずらを受けたばかりか、この男が子どものポルノ写真を撮り、インターネット上に流していた。男は今月逮捕されたが、ポルノ写真は主として自ら持ち込んだカメラ付きの携帯電話で撮影していた。被害者の数は今後増える可能性があるといわれ、病院側も大きな衝撃を受けている。(ベリタ通信=有馬洋行)
事件の舞台となったのは、同州サンディエゴ郡カニーメサにある病院「チルドレンズ・ホスピタル」。逮捕されたのは、ウェイン・ブレイル容疑者(54)で26年勤続のベテラン。病院内にある「回復センター」に入院中の子どもたちに対して呼吸器系統のケアを行う治療専門士だった。
各種報道を総合すると、ブレイルが逮捕されたのは、インターネット上の児童ポルノに関して、サンディエゴ警察当局に最近情報が寄せられたのがきっかけ。連邦政府と地方の捜査機関で構成される「インターネット子ども犯罪特別班」が追跡捜査を開始し、ブレイルの所在を突き止めた。
警察は今月初めに自宅を家宅捜査し、二台のコンピューターに入力されていた多数の画像を発見した。また子どもとの性行為を写した画像もあった。警察は9日にブレイルを子どもへのわいせつ行為や児童ポルノ写真の配布などの容疑で逮捕した。
▽昏睡状態の子どもらが被害者
ブレイルは子どものベッドに怪しまれずに接触できる立場を利用し、持込みが禁止されている携帯電話でポルノ写真を撮っていた。警察では、ポルノ写真のネットへの流出をめぐり外部に協力者がいる可能性もあるとしている。
被害者は、年少の者から十代の半ばまでの9人。脳に損傷があったり、こん睡状態の患者が多く、看護のケアがなければ、入浴や着替えもできない寝たきりの子どもたちがほとんどだった。被害者の一部の患者は既に退院している。
警察では、いったい何人の子どもたちが、ブレイルの餌食になったのか現在捜査している。病院側は逮捕後記者会見したが、事件の大きさに動揺を隠せなかった。病院責任者の一人は、会見中、子どもたちへの影響を慮り、絶句した。
「回復センター」には現在53人の子どもが入院しているが、病院側は患者の家族全員に今回の事件の概要を報告するとともに、院内に電話ホットラインを設置し、情報提供を呼び掛けている。
10日に行われた罪状認否で、検察側は「今回の事件は、子どもへの性的いたずらとしては最悪のものだ。しかも、被害者の子供たちは極めて脆弱な状況にあった」と指摘した。ブレイルは認否では、有罪を認めなかった。保釈金は500万ドル(約5億8000万円)で、払えなければ引き続き拘束される。
ブレイルの犯行の動機はまだわかっていない。サンディエゴ郡サンティの妻と一緒に住んでいたが、近所の人の話では、挨拶を交わす程度であまり人付き合いはなかったという。事件が表面化した後、妻から自宅を追い出され、警察が逮捕した時はホームレスの状態だった。
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