2006年03月27日21時43分掲載
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米学校の食堂に指紋読み取り機が出現 長い行列回避が目的
SFやスパイ映画でしばしば登場する指紋読み取り機。例えば、ハイテク管理の秘密の部屋に入るとき、読み取り機に手を合わせ、指紋が照合すれば、入り口のドアが開く──といったシーンは、もうお馴染みだ。ところが身近な生活の場でも、指紋読み取りのアイディアが既に活用されている。米国の学校では、昼食時間の児童、生徒たちが、キャッシャーでの料金の支払い時間を短縮させるため、指紋照合を行う簡易スキャナーが導入されているという。(ベリタ通信=エレナ吉村)
米国の公立学校では、昼食は、弁当持参組のほか、一般的には学校のカフェテリアに行き、自分で食べたいものを選ぶのが普通。昼食費は事前に払っておく場合が多い。
どこの学校でのみられる現象だが、カフェテリアに児童、生徒が一時期に殺到するので長い行列ができる。高校のカフェテリアなどで長い行列ができるのは、清算するキャッシャーで、生徒たちが身分証明書の番号を忘れたりして、身元確認の照合が遅れることも大きな要因になっている。
昼食時間中に友人たちと談笑したい生徒たちの間では、長い待ち時間のため、せっかくの休み時間が長く使えないとして、昼食を抜いてしまう現象も起きている。
こうした長い待ち時間を解消するために導入されているのが、指紋読み取り用のスキャナー。5本の指をすべて照合するものではなく、右手の人差し指だけを、読み取り機の上に乗せるやり方だ。パネル表示の場合は、指紋が一致すると、身分証明書番号や、保護者が学年初めに事前に納入していた金額の残高が瞬時に表示される。
米紙シカゴ・トリビューンによると、学校への指紋読み取り機の導入は今後急増する可能性があるという。
その理由の一つは、保護者が、子どもの食生活の態度を知ることが可能になることだ。データとして記憶されるため、子どもが過度に甘いものばかりを選んで食べていないかもチェックできるという。
▽「便利になった」の声も
ミシシッピ州の二つの高校では、指紋読み取り機を試験的に導入している。従来、生徒は昼食費を事前に支払うと、カードを渡される。カフェテリアでその都度カードを読み取り機に通す方法をとっていた。しかし、新らしいやり方では、人差し指をスキャナーの上に置くだけで済むので、生徒たちからは「便利になった」との声も聞かれる。
当然、保護者や生徒の中からは、指紋照合はプライバシーの侵害になると不安を訴える声も上がっている。しかし、指紋読み取り機の製造メーカーによると、この装置は、スキャンした指紋を、そのままそっくり覚えるのではなく、指紋の幾つかの個所を点として記憶するだけなので、悪用される心配はないとしている。
一方、指紋読み取り機に関しては、衛生上の問題が指摘されている。昼食を食べる前に数百人の生徒が、スキャナーの指を乗せるため、不潔になるとの意見だ。大半の児童、生徒が手を洗わずにスキャナーを使う可能性が高いからだ。
このため指紋読み取り機メーカーでは、目をスキャンして識別する装置を検討中だ。指に比べれば、バクテリアに触れることもなく、はるかに衛生的という。
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