2006年04月01日05時05分掲載
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霊媒師の生存のお告げも当たらず? 米失踪女性は10年前に死亡
10年以上も前に23歳の小柄な金髪女性が姿を消した。家族はその後、テレビの全国番組で情報提供を呼びかけるなど、警察と共に、必死の捜索を続けた。ところが、この女性は失踪直後に既に死亡し、検視事務所で長い間、身元不明死体の扱いになっていたことが最近わかった。女性の消息をめぐっては、高名な霊媒師が出演するテレビ番組で「ハリウッドのアダルト関係の職場で働いている」との“お告げ”が出たため、一縷の希望を抱いて家族がハリウッドまで捜索に行ったりしていた。(ベリタ通信=苅田保)
米紙サンディエゴ・ユニオン・トリビューンによると、この女性は米カリフォルニア州ラメサに住んでいたハリー・クルーメンさん。1995年に家族が行方不明の捜索願を警察に出していた。
身元が判明したのはことし2月。遺体は1996年に発見されていたが、郡検視事務所は10年間も、「ジェーン・ドウ」と呼ばれる身元不明死体として扱っていた。警察や検視局は、身元がわからないまま死亡した女性については、「ジェーン・ドウ」という仮名を付けて呼んでいる。ちなみに男性の場合は「ジョン・ドウ」と呼ばれる。
今回、歯の診療記録などから身元が確認されたが、既に検視事務所に収容されていた女性が、なぜ10年間も身元がわからないまま放置されたのか、いぶかる声もある。
ハリーさんのおじに当たるボストン在住のブルース・フェントン氏は、「何が起きたのか。多くの疑問が残っている」と苛立ちを表明している。
これに対し、警察当局は、殺人事件の可能性もあるため、死因や遺体発見当時の様子を明らかにしていない。
■母は娘の消息しらぬまま死去
家族はハリーさんの失踪後、数万枚のチラシを作成し、情報提供を呼びかけるととともに、2002年には、霊媒師がスタジオ内の聴衆からの質問に即興で答えることを売り物にしている全国放送のテレビ番組に出演。この霊媒師は「ハリーさんはハリウッドにあるアダルト・クラブでダンサーをしている」と述べた。このため家族が一週間にわたり、多数のナイトクラブを訪れ、捜索したこともある。
またハリーさんの遺体が埋められたのを目撃した情報も電話で寄せられ、家族が現場に行き、数十の穴を掘ったりしたこともある。
ハリーさんは身長158センチで米国女性として小柄。子どものころから女優になることを夢見ており、子ども美人クウィーンに選ばれたことがある。祖母はプロの歌手だった。11歳の時に、家族の友人によって性的ないたずらを受けたこもあるという。
その後両親が離婚したため、生活に乱れが起き、麻薬や悪い仲間と付き合うようになり、高校も中退していた。カジノやバーなどでウェイトレスの仕事もしたことがあったという。
母親のグウェンドリンさんは、「自分が死ぬまで娘の捜索はやめない」と述べ、カリフォルニア州内を移動、各地の電柱やアパートなどにチラシを置き、情報提供を呼びかけた。しかし、2003年に動脈瘤のため、娘の消息がつかめないまま死亡している。
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