2006年04月05日08時07分掲載
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奇跡の生還でばれた過去の前歴 逃げきれず夫婦は逮捕される
ことし3月、米オレゴン州の雪深い山中で車が立ち往生し、17日ぶりに家族6人が無事生還を果たした。このニュースは、明るいトピック記事としてテレビで全米に放映された。テレビ画面には、生還を喜ぶ家族の表情が映し出された。ところが、その画面を見た遠く離れたアリゾナ州で見た捜査官は思わず、つばを飲んだ。覚せい剤保持などの容疑をかけられていた夫婦が乗り込んでいたからだ。この二人は結局逮捕され、「時の人」から一転「容疑者」に転落するという事態になった。(ベリタ通信=江口惇)
二人はエルバート・ヒギンボーサム(54)と妻のベッキー(44)で、昨年アリゾナ州で覚せい剤保持の疑いで逮捕されていた。その後捜査に協力すると約束したため、自由な身になっていたが、途中で行方をくらました。ところが、今月の山中の遭難事件で、オレゴン州にいることがわかり、アリゾナ州捜査当局は改めて二人を指名手配していた。
遭難事件の経緯は次の通りだ。二人は「モーターホーム」と呼ばれる居住用の大型車を運転し、ベッキーの息子夫婦が住むオレゴン州を訪問。その後州内旅行をすることになり、息子夫婦とその子ども二人を連れて計6人で3月4日に出発した。
山中の裏街道を運転中、雪は激しさを増し、遂に車は動けなくなった。車内には十分な燃料と食料が積んであった。テレビも据え付けられており、ニュース番組で自分たちが捜索の対象になっていることを知ったという。
しかし、その後次第に食料も少なくなり、また捜索が打ち切られたとの報道が伝えられたため、息子夫婦が車から出て、自力で救援要請に向かった。運良く息子夫婦は21日発見され、一躍6人は「時の人」になった。エルバートとベッキー夫婦も、テレビ画面に映し出された。
これが二人にとっては運のつき。アリゾナ州捜査当局から通報で、二人の過去が暴かれることになった。
二人は昨年4月、アリゾナ州で警察が民家の手入れを行った際、現場にいたため逮捕された。家の中から覚せい剤や、ショットガンなどが発見された。エルバートは、二人はたまたま留守番していただけだと主張。このためアリゾナ州捜査当局は、捜査協力を条件に二人を自由の身にしていたが、その後姿を消していた。
■「時の人」から容疑者に
地元メディアは、「時の人」から今度は「容疑者」として二人を追い回す事態になった。エルバートはアリゾナの事件について「まったく愚かだった」と反省する弁を述べている。しかし、今回もアリゾナ州捜査当局が指名手配の準備をしているうちに、二人は再び姿を消してしまった。
この段階で二人は指名手配が出ているため今度は「逃亡者」の身になった。二人のその後の足取りは、「モーターホーム」を取りに山に戻り、北へ進路をとった。
発見されやすい「モーターホーム」を運転していたため、オレゴン州の北にあるワシントン州ロングビーチで捜査官に職務質問を受け、今月28日逮捕された。アリゾナ州捜査当局はオレゴン州に対し、身柄移送を求めている。
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