2006年04月14日14時16分掲載
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米で5歳の男の子の緊急電話を無視 「母親急病」をいたずらと勘違い
米ミシガン州デトロイト市でことし2月、5歳の男の子が、アパートの台所で倒れて意識を失っている母親を発見。「911」に緊急電話をかけたが、応対に出たオペレーターがいたずらと思い込み相手にしていなかったことがわかった。母親は結局死亡したが、デトロイト警察はオペレーターの対応などについて問題がなかったかどうかなど全面的な調査を行うことを約束した。(ベリタ通信=苅田保)
米デトロイト・フリー・プレスなどによると、当時5歳だったロバートちゃん(6歳)は、当日2回にわたって「911」に電話をした。交信記録によると、1回目は午後6時。母親のシェリル・ターナーさん(46)が台所に倒れ、呼吸をしていないのを知り、「911」に電話し、救急車の出動を要請した。日ごろから、母親から何かあったら、「911」に電話をするよう言われていたという。
応対に出た女性オペレーターは、ロバートちゃんの電話をいたずらと思い、大人を電話口に出すように要求した。ロバートちゃんの話によると、出せないと答えると、オペレーターは、警察をそちらに送ると警告して電話を切ったという。しかし、警察は来なかった。
ロバートちゃんが2回目の電話をしたのは、それから3時間後の午後9時。女性オペレーターは、「電話で遊んではいけない。私が今から警察をそちらに派遣する。ドアがノックされて、あなたがトラブルに巻き込まれる前に、母親を電話口に今すぐ出しなさい」と話している。
交信記録には、この言葉に驚いたロバートちゃんが「ワッー」という言葉を漏らして電話を切っている様子が残っている。
2回目の電話の後、警察がアパートを訪問しているが、ロバートちゃんのいたずら電話の捜査が目的だったとみられている。
母親は結局死亡したが、救急車の出動の遅れが死亡につながったどうかはわかっていない。以前から、心臓肥大の病気を抱えていたという。このニュースは、地元のテレビ局が4月初めに始めて報道した。
■オペレーターは譴責処分
応対に出た女性オペレーターの身元は明らかにされていない。この女性が属するオペレーター組合責任者で、自らもオペレーターのキンバリー・ハリスさん(女性)は「ロバートちゃんの家族にお悔やみを述べたい。ロバートちゃんはやるべきことをやったと思っている」と事実上の謝罪をした。
しかし、女性オペレーターが、ロバートちゃんの前に子どものいたずら電話を受けていたとし、「弁解をするつもりはないが、悲劇だった」と弁明している。
オペレーター関係者によると、「911」にかかってくる電話は年間200万件に達し、そのうち4割が緊急な内容ではないという。この中には子どものいたずら電話も多く含まれている。
問題の女性オペレーターは、譴責処分は受けるものの、長年の勤務などを考慮し、解雇されないという。前述のハリスさんは「私は彼女を知っている。彼女は優秀なオペレーターだ」と話している。
ロバートちゃんの年長の姉、アニトラ・ターナーさんは「今後、子どもから電話がかかってきたら、質問することなく対応してほしい」と語っている。
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