2006年04月19日23時37分掲載
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中東
イラクの孤児に支援届かず 犯罪集団に利用される例も 戦乱で数が急増
【バグダッド18日=IRIN】イラクの労働社会問題相の孤児施設局は、戦乱の中で両親を失うなどした孤児の数がイラクで増加、食料や薬が不足した状況に置かれており、緊急な援助を必要としていることを明らかにした。
孤児施設局のアベール・マハディ・アルシャラバイ局長は「イラクの孤児施設の受け入れ人数は1600人ほどだが、施設不足で受け入れができないケースや、入所できても食料や薬が足りない時もある」と指摘、「孤児をめぐる問題が非常に深刻な問題になっている」と懸念を示した。
局長は孤児の増加について武装勢力の爆弾攻撃や暗殺、宗派間対立など「近年のイラク情勢の結果」だとしている。
米国際開発局(USAID)の2005年の報告書によると、イラクでは首都バグダッドだけで5000人の孤児がいるという。
労働社会問題省によると、孤児たちの中には路上生活者となり、物ごいをしたり、薬物中毒になる者も少なくない。さらには、武装組織が攻撃を行う際に何らかの形で利用される孤児や、犯罪集団から強制され、窃盗を行う孤児もいるという。
バグダッドの町中では、両親を失った子どもたちの姿を多数見かける。
「二人の兄弟とぼくで伯父さんと一緒に通りで行商をやっている」とアーメド・チャルーブ君(10)は話す。
チャルーブ君の両親は2カ月前に爆弾攻撃で死亡した。
「孤児院という所は知らないし、伯父さんは僕たちを手元から放さないと思う。僕らが一緒に働くことが必要なんだ」
チャルーブ君は今、8人の親類たちとともに狭い部屋で寝起きしているという。
(翻訳・編集/ベリタ通信=河合敦)
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