2006年04月19日23時48分掲載
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大破したフェラーリの所有者を逮捕 支払い踏み倒し英国から密かに持ち込む
ことし3月、米カリフォルニア州西海岸のマリブで、スウェーデン人実業家が所有するイタリアの最高級スーパーカー「エンツォ・フェラーリ」(2003年)が猛スピードで電柱に激突、大破する事故があった。当初は単なる交通事故と思われたが、その後の展開は意外な方向へ。ロサンゼルス郡警察がこのほど、実業家を重窃盗の容疑で逮捕したからだ。実はこのフェラーリは、実業家のローン返済が滞ったため、英国の金融機関の名義になっていた。それにもかかわらず、この実業家は英国から、車を米国に勝手に持ち込んでいた。(ベリタ通信=有馬洋行)
逮捕されたのは、スウェーデンのビデオゲーム会社「Gizmondo」の経営幹部だったステファン・エリクソン容疑者(44)。米紙ロサンゼルス・タイムズなどによると、「Gizmondo」は一時経営が好調だったが、ことし初め、2億ドルの負債を抱えて事実上倒産している。
事故が起きたのは、3月21日早朝で、時速で240キロで走っていた赤のフェラーリが運転を誤り、土手に乗り上げ、電柱に激突。車体は真っ二つに割れた。このフェラーリは、2002年から04年にかけて400台が限定生産されたもの一台で、100万ドル(約1億1700万円)以上の価値があるとされる。
エリクソン容疑者は、運転していたのは「デートリッヒ」と名乗る人物だと供述し、この人物は事故直後、現場から立ち去ったと述べていた。警察は、この人物は架空との見方をしている。また同容疑者からは、限度を超えたアルコール量が検出されている。
事故のはげしさとは対照的に、エリクソン容疑者は、唇に軽いけがをしただけ。フェラーリは運転席のエアバッグだけが開いており、バッグに血が付着していた。警察は、この血がエリクソン容疑者のものである可能性もあるとしてDNA鑑定を行なった。結果は既に出ているが、公表はされていない。
■購入額は4億円
警察の調べによると、エリクソン容疑者は英国滞在中の2005年に、このフェラーリを含む3台の高級車を購入したものの、この支払いが滞った中で、車3台をロサンゼルスに無断で持ち込んでいたことが判明した。
この3台の時価総額は350万ドル(約4億円)といわれ、現在はいずれも英国の金融機関の名義になっている。内訳は事故車のフェラーリのほか、黒のフェラーリとメルセデスベンツSLR。3台の車は警察がすべて回収した。ベンツに関しては、ロンドン警視庁からも盗難届が出されていた。
一方、ロサンゼルス郡警察は今月、ビバリーヒルズに近い高級住宅地にあるエリクソン宅を6時間にわたって家宅捜索、コンピューターのほか、銃のほか、コカインと思われる物質を押収している。エリクソン容疑者の身柄は、入国管理当局の監視下にある。このため強制送還される可能性もあるという。
この事件をめぐっては謎めいた部分も多い。事故直後、現場に国土安全保障省の係官を名乗る二人が現われ、エリクソン容疑者から事情を聴いている。なぜ連邦職員が現場に現われたのかわかってない。また名義が英国の金融機関に移っているのに、なぜ高級車がいとも簡単に米国に持ち込めたのかとの疑問も残っている。
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