2006年05月01日01時56分掲載
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Wカップ控え勤労者から休暇願が相次ぐ 過熱気味のマレーシア
【クアラルンプール29日=和田等】6月9日〜7月9日にかけてドイツでサッカー・ワールドカップが開催されるのを控え、すでにマレーシアはサッカー・フィーバーに包まれつつある。ワールドカップ開催中、とくに第2ラウンドが実施される6月下旬から7月初めにかけて労働者から休暇願が多数提出されている。
こうした動きを受けフォン・チャンオン人的資源相は、サッカー・ワールドカップ開催期間中に試合を観戦したいという労働者に対して年次有給休暇をとらせるべきだと雇用主に要請した。
労働者の偽の医療診断書を作成して仕事を休む口実にしたり、勤務時間に遅れてきたりするのを避ける意味でも有給休暇を与えることで、生産性が下がるのを防ぐ方が得策というのがその理由。
今回の試合の多くは午後10時〜午前4時の間に実施されることから、試合の生中継に熱中し寝不足のまま職場に来たり、遅刻したりする労働者が続出することも予想される。
同相によれば、4年前の日韓共催によるワールドカップの際にも有給休暇をとって試合観戦をする労働者が多かったという前例もある。同相はまた、工場の経営者に休憩時間に労働者がテレビで試合を観戦できるように設備を提供するよう呼びかけた。
これに対して雇用主側はワールドカップ開催中に夜遅くまで試合を観戦した結果、仕事に遅れないよう労働者に警告を発している。
マレーシア雇用主連盟のジャファー・カーリム会長は「ワールドカップは重要でエキサイティングなイベントかもしれないが、人生をかけるほどのものなのだろうか。仕事は通常通りに続けなければならない」と、労働者にメッセージを送る。同会長はまた、試合を見たい労働者に録画しておいて見るよう呼びかけた。
一方、マレーシアの労働組合の連合体、マレーシア労働組合会議のサイド・シャリル議長は、雇用主は有給休暇をとる労働者の権利を尊重すべきであると語る一方、休暇をとるにあたっては慎重に行なうよう労働者に呼びかけた。
また巷ではサッカー・ファンの間で液晶テレビやプラズマ・テレビ・セットが必需品となっているのにあわせて、小売店やメーカーは液晶テレビ、プラズマ・テレビのディスカウント、特別価格での提供を実施している。
2000リンギット(6万円強)までのディスカウントを実施する小売店が多数あるほか、賞品としてドイツでのサッカー観戦のチケットをプレゼントするところも。
飲食店やナイトスポットの中には大型テレビを設置したり衛星テレビ放送の加入申し込みを計画しているところもある。
こうしたサッカー熱が盛り上がる中、ワールドカップをターゲットに大もうけを企んでいたと見られるノミ屋が摘発されるという事件も起こっている。世界的規模でオンラインによるサッカーのノミ行為をおこなっていた27歳の男が4月25日、ペナン州のアパートでノミ行為を実行していたところを現行犯逮捕されたのである。
この男は、遠くは英国やイタリア、スペインに顧客を持ち、ヨーロッパ・メジャー・リーグの週末の試合に対する賭けを実施し、最高で1000万リンギット(3億円強)にもおよぶ賭け金を顧客が賭けるのを認めていた。これらの取引はeメールとオンライン・バンキングを通じて行なわれていた。次はワールドカップの試合を賭けの対象に、と狙っていた矢先、警察に摘発された。
警察のこれまでの捜査によれば、マレーシア北部ペルリス州出身のこの男は、フィリピンの賭博組織の使い走りとして経験を積んだ後、ノミ屋としての「事業」を始めたようだ。
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