2006年05月06日17時46分掲載
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メキシコ系のLA市長らに死の脅迫状 移民問題めぐる白人層の反感が背景か
米国に不法滞在しているヒスパニック(中南米系)の人々をどう扱うかが、内政上の大きな問題になっている中で、米カリフォルニア州のアントニオ・ビリャライゴサ市長(民主党)やクルス・ブスタマンテ副知事(同)らメキシコ系の要人に対し、死の脅迫状が届いているという。同州南部のサンディエゴ郡では最近、メキシコ・レストランが放火される事件も起きている。ヒスパニックの労働者や学生が、ことしに入ってから、不法滞在者への支援を求める抗議行進などを各大都市で実施しているが、保守白人層を中心にヒスパニック系住民への反感も日増しに強くなっている。(ベリタ通信=有馬洋行)
米メディアによると、死の脅迫状の件は、シュワルツネッガー州知事が4月24日記者会見で明らかにした。ビリャライゴサ市長は、昨年5月に当選したメキシコ系米国人。大都市のロサンゼルスにヒスパニック系市長が誕生したのは、133年ぶりだとして話題になった人物だ。
シュワ知事は、また4月10日にサンディエゴ郡ジャムルにあるメキシコ・レストランが深夜放火された事件にも触れ、「カリフォルニア州の偉大さは、その豊かな多様性だ。憎悪や人種差別、それに不寛容は決して容認できない」と述べた。
ビリャライゴサ市長のスポークスマンは、脅迫状の件についてメディアと話すのことを避けている。ブスタマンテ副知事に所には、3月のヒスパニックの集会に、ビリャライゴサ市長と一緒に出席した後、いやがらせの電子メールが送られえきた。3週間前には、葉書が送られ、「良いメキシコ人とは死んでいるメキシコ人だ」と脅迫の文言が書かれてあった。
▼警察は憎悪犯罪として捜査
副知事は、デービス前知事からの現職。デービス前知事がリコール(住民の解職要求)成立で辞任した後、シュワ氏と後任知事を選挙で争ったが、敗北。しかし、シュワ知事誕生後も、副知事職を続けている。
メキシコ・レストランで起きた放火事件では、玄関ドアや壁にメキシコ人を侮辱するいたずら書きが残されていた。赤の塗料スプレーが使われ、放火する前に書いたものという。全焼は免れたが、放火の前日には、サンディエゴでヒスパニックによる大規模な抗議行進があったばかりだったという。
警察では、人種や宗教など憎悪心が動機になって起きた「ヘイト・クライム(憎悪犯罪)」の疑いで捜査している。地元に13年住んでいる住民は、このような人種差別的な事件が起きたのは初めてだと、ショックを受けている。
一方、米連邦議会で現在審議中の移民法改正案は、米国にいる1200万人といわれる不法滞在者に合法的な地位を与え、米国で働くことを許可するかどうかが最大の焦点。最近起きたヒスパニックの抗議行動は、不法滞在者に合法的地位を与える法案を可決するよう米議会に圧力をかけるのが狙いだった。
これに対し、保守白人層から反発も目立っている。昨年不法移民の密入国ルートであるアリゾナ州で、不法移民の監視を開始した民間組織「ミニットマン・プロジェオクト」は、移民規制強化を求め、近くキャラバン隊を組織して首都ワシントンに乗り込む予定だ。
最近、保守層をさらに刺激する問題が浮上した。米国歌のスペイン語版が登場したからだ。保守派は、愛国心発揚の国歌がスペイン語で歌われることに不快感を表明している。
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