2006年05月08日07時05分掲載  無料記事
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殉教者情報だけを記憶するパレスチナ青年

  学校を落ちこぼれて退学したパレスチナ人の青年が、なぜか多数の殉教者の名前や関連する年月日を記憶していると周囲の人々から不思議がられている。4月24日付のアルジャジーラ・ネットが報じた。(東京=齊藤力二朗) 
 
  同ネットによると、ガザ地区中部のアル・マガージー難民キャンプに住む17歳のパレスチナ人青年ターリク・ダルウィーシュ君は、学校ではいわゆる落ちこぼれだったが、インティファーダ(イスラエルに対する一斉民衆蜂起)の殉教者の名前と殉教時の状況をすらすらと言い出すことの出来る彼の驚くべき能力を発揮し、周りの人々を驚かせている。少年の記憶力は「殉教者たちの一生や生前の業績などを記憶する巨大なアーカイブ」とさえ報じられている。 
 
 ダルウィーシュ君には「殉教者大好き人間」というこの愛称が贈られ、地域で有名になっている。 
 
 成績不振で12歳で退学を余儀なくされたダルウィーシュ少年は、「アルアクサー・インティファーダ(訳注:2000年から始まったイスラエルに対するパレスチナ人の民衆蜂起)」で死亡した千人を超える殉教者名などを暗記出来る特異な記憶力を持っている。 
 
 アルジャジーラ・ネットの取材に対しダルウィーシュ君は「アルバムに700枚近い殉教者の写真を集めることが出来た。写真は殉教者がそれぞれ所属していた政治組織別に分類されている」と資料集めなどを熱心に行っていることも明らかにしている。 
 ただし「同級生の電話番号や国の行事の日付などは時々忘れる」とし、記憶力は「殉教者の歴史を記憶することだけに限られている」と話しているという。 
 
 ダルウィーシュ君は「殉教者を熱愛しているので、ガザ地区各地での殉教者の葬送に熱心に加わるようになった。殉教者の死を覚えているので、彼らの墓参りをし、遺族を慰めに行くよ。その多くとは親密な関係で結ばれている」とも話している。 
 
 一方、ダルウィーシュ君の父親はアルジャジーラ・ネットに対し、「学業で挫折し言葉を話すのも5年以上遅れていた息子が、殉教者の一生や殉教の状況を記憶する能力を持っていることに驚いている」と語った。 


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