2006年05月17日10時45分掲載
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度を外した女性の飲酒は危険 米専門家が健康面への影響指摘
ハイティーンや若い女性が、酒を飲む機会が増えている。しかし、女性は男性に比べて、生理学的にアルコールの影響を受けやすく、短時間に大酒を飲んだりすると、将来的に健康上の問題を引き起こすこともあるという。また女性の場合は、酒に酔うと、レイプなどを受ける危険性も増すといわれる。ことし2月、ニューヨーク市のマンハッタンのバーで、一人で深夜まで酒を飲んでいた24歳の女子大学院生が誘拐され殺害されたが、この事件も、女性の周りには多くの危険があることを改めて浮き彫りにした。(ベリタ通信=苅田保)
最新の調査では、中学、高校生のほか、カレッジに通う女子大生らが、パーティーなどで大量のアルコールを摂取するケースが目立っている。短時間のうちにビールやカクテルなど大量に飲み、時には失神し、嘔吐し、挙げ句の果てには翌日には二日酔いという、悪いパターンになっている。
米紙ロサンゼルス・タイムズによると、若い女性のアルコールを摂取する機会は、かつてないほど増えている。この結果、男性の飲酒者の数と女性のそれとの差が一段と狭まっている。
専門家は、女性の場合、パーティーでの乱痴気騒ぎで、ビールなどを短時間に何本も飲んだりすることを繰り返すと、男性に比べて健康的に危険性が増すと警告している。
アルコールは、体内の水分で薄められるが、女性は男性より脂肪分が多いだけ、体内の水分が少ないという。このため、女性の方が、アルコールを体内にとどまる量が多くなる。この影響で、女性の方が、男性より肝臓のはれが進んだり、肝硬変になりやすいとされる。
カリフォルニア州の薬物治療センターの代表であるベッキー・フラッド氏は、「2年間の女性の飲酒は、男性の10年間の飲酒に匹敵する」と述べ、女性が短時間に大量のアルコールを摂取する危険性を指摘する。
また統計的に、女性は14歳前に飲酒を始めると、大学に入ってからアルコールにおぼれる危険性が4倍も増すといわれている。
フラッド氏は、大酒を飲んだ後、前後不覚になり、あとで何が起きたかは記憶がないといった場合は、既に危険信号だと述べている。
一方、2005年に出版された処女本「スマッシュ(酔っ払い)」がベストセラーになった若手女性作家コレン・ザルカスさんは、この作品の中で、自ら14歳のときから酒に溺れた過去を綴っている。
深酒し、目を覚ましたら見知らぬ男性のアパートで寝ていたということも経験した。本の中では、アルコール依存症がいかに米国の若者に悪影響を与えているかを明らかにしている。
ザルカスさんは、これまで学校で教えられたのは、酒酔い運転をやめようといった警告的なものばかりだたっと指摘。その上で、アルコールが健康面などで女性に悪影響を与えるなどと説明した人は、成人してからも誰もいなかったと話している。
また酒類業者が、テレビ宣伝などで、女性に飲酒を誘っていることにも批判の目を向けている。最近の流行になっている口当たりのいいアルコール類にも警戒心を解いていない。
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