2006年05月20日18時07分掲載  無料記事
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ロス市警が初のブログ開設 挑発的なコメントは削除も

 米カリフォルニア州のロサンゼルス市警(LAPD)が今月12日から、インターネット上で初のブログを開設した。ブログを通じて警察の仕事への理解を得るのが狙い。ウィリアム・ブラットン市警本部長はブログ上にメッセージを寄せ、市民と警察の開かれた対話の場になるようにと期待している。利用者は名前とEメール番号を登録すれば、コメントを寄せることもできる。ただし、警察に対する挑発的なコメントは、削除される可能性があるという。(ベリタ通信=苅田保) 
 
 米メディアによると、ロス市警は数カ月前から、ウェブサイトのアップグレードの着手しており、今回のブログ開設もその一環。ことし3月からのウェブサイトのアップグレードにより、月間のアクセス数は、1300万人から3000万人に急増している。 
 
 ブログ管理者は警部補とそのスタッフで、ブラットン本部長も、今後定期的にブログに投稿するという。利用者は市警のホームページにアクセスした後、ブログに移ることができる。近い将来、19の分署からもブログに参加できるようにする考えだ。 
 
 ブラットン本部長は「ブログは、市民とコミュニケーションを図り、またわれわれがどのような仕事をしているかを知らせるチャンスになる」と指摘。またメディアなどに取材に対し、警察が報道の間違いなどを指摘する場としても活用できると話している。 
 
 「LAPDのブログにようこそ」との書き出しで始まる本部長のメッセージには、既に十数通のコメントが寄せられている。ある書き込みには、市民が警察に不公平に扱われた場合などに、ブログが有効に使われることを期待している。 
 
 ブラットン本部長は3年半前に就任した際、その公約の中で、犯罪率の減少、テロリストからの市の防衛にまじって、警察の改革を一つに加えている。ロス市警は、一時警察内部で不正や汚職がはびこり、市民からの信頼を失ったからだ。 
 
 1991年3月に、交通違反で検挙された黒人のロドニー・キングさんが、多数のロス市警の白人警官らに取り囲まれ、棍棒で殴られるなどの暴行を受ける事件が起きた。 
 
 この模様を映したビデオ映像は、繰り返し放映された。しかし、92年4月、起訴された警官らに対し、白人で構成される陪審団が、無罪の評決を下した。これに対し、以前から不平等な扱いを受けていた恨みも加わって、黒人たちによるロス暴動に発展した。 
 
 この暴動事件は、地域社会からの警察への不満が一気に噴出したものだ。このためロス市警では、警察と地域社会が意思の疎通を図るための試みを続けている。 
 
 南カリフォルニア大学の関係者は、犯罪多発地域では、貧しい層が多く、インターネットを使用する割合が高くないため、ロス市警のブログはあまり注目されないかもしれないとの見方をしている。 
 
 一方、ロス市警は、挑発的な文言の入ったコメントがブログから削除されることもあり得るとしている。しかし、警察への批判を拒否する考えはないとし、特に批判を警察官が読むことの有用性を指摘している。 


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