2006年05月23日00時00分掲載  無料記事
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ワニがジョギング中の女性食い殺す 遺体は水辺で発見される

  今月9日夜にジョッギングに出かけたまま、行方不明になっていた米フロリダ州の女性が10日、水死体で発見された。遺体は両腕がもぎ取られるなど、激しい損傷を受けていた。その後の調べで、“犯人”は周辺に生息している大型のワニと確認された。ワニはジョッギング中の女性を陸地で襲い、死亡させた後、水の中に引きずり込んだとみられている。フロリダ州はことし深刻な雨不足に見舞われている。この影響で湿地帯も乾燥し、えさが不足したワニが、人が行き来する周辺にまでえさを求めて迷い込んでいるようだ。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 米メディアによると、犠牲者はヨビ・スアレス・ヒメネスさん(28)。9日夜、フロリダ州南東部の川沿いの自転車道で、一人でジョギングしていた。しかし、その後ジョギングから戻らないため、心配した家族が警察に捜索願を届けた。翌10日、川の淵に浮いている女性の遺体を通行人が発見。ヒメネスさんの遺体とわかった。 
 
 遺体は両腕がもがれ、右足、背中にかまれた跡があった。直ちにワニの仕業との見方が強まった。司法解剖の結果、11日にワニに襲われ、出血多量によるショック死であることが判明した。 
 
 また遺体の肺や腹部に水を飲み、溺死した形跡がないことから、陸地で襲われ、死亡した後、ワニが遺体を引きずって水の中に入ったとみられる。水辺などで獲物を捕獲し、水の中に引きずり込むのはワニの習性。 
 
 フロリダ州野生動物保護局の話によると、えさが不足しているワニに、人がえさを与えることはよくあるという。当時、ヒメネスさんがワニにえさを与えようとして、襲われたのか、よくわかっていない。空腹時のワニは、獰猛で近づくのは、大変危険だという。ワニにとって、人は他の動物に比べ、骨ばっており、好んで食べる対象ではないとされる。 
 
 襲ったワニは、体長2〜3メートルと推定されている。動物保護局などでは、遺体が見つかった水辺周辺におとり用のえさを置き、ワニをおびき寄せようとしているが、まだ発見されていない。仮に捕獲に成功した場合は、まずワニの腹部を裂き、人を襲ったかどうかを確認した後、処分する方針。 
 
 ヒメネスさんは、不動産のエージェントのほか、モデルの仕事もしたことがあるという。最近は大学に通い、犯罪学を学んでいた。突然の不幸に、家族や知人は大きなショックを受けている。 
 
 フロリダ州には、大規模な湿原が広がっており、約100万頭のワニが生息しているといわれる。1973年以来これまでに16人がワニに襲われ、犠牲になっている。 
 
 同州はことしは雨が不足し、山火事が多発している。湿原も水が乾き、ワニのえさも不足している。一方、最近の宅地開発ブームで、ワニの生息地が減少し、このためワニが住宅地の庭先や池、川などにえさを求めて迷い込むことも多くなっている。 
 
 ヒメネスさんの死亡の後にも、フロリダ州南西部で74歳の女性が、裏庭で草花に水をまいている際に、体長2メートルのワニに襲われた。足をかまれたが、持っていた水ホースのノズルを使って叩き、ワニを撃退したという。女性の命に別条はなかった。 


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