2006年05月30日18時23分掲載  無料記事
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ギリシャから偽造パスポートで豪州めざすイラク難民

 【アデレード30日=木村哲郎】現在約450人のイラク人難民がギリシャに居住しているとされるが、難民の多くは2万ユーロ(約290万円)をブローカーに支払って偽造パスポートを購入し、オーストラリア国内での難民申請を目論んでいるという。オーストラリア紙のアドバタイザーが29日付けで伝えた。 
 
 ギリシャにいるイラク人難民の大半は、出国に大金が必要だったため1人で渡航してきており、親戚のいるオーストラリアへの移民を望んでいる。オーストラリアへの難民申請は原則的に同国外で書類を提出することになっていることから、ギリシャで申請するつもりだ。 
 
 しかし希望者全員がオーストラリアに行けるわけではない。今年度の難民枠は13000人。近年は、内戦の続くソマリア難民が多いことからも分かる通り、ギリシャなどの安全な場所にすでにいる難民を受け入れる可能性は低くなる。 
 
 そのためギリシャで10年以上も足止めを食うイラク人もいるほか、教会の支援を受けて暮らしている人たちもいるという。彼らは国連に難民認定されているものの、ギリシャでの移住権はないため、生活は不安定で家族を呼び寄せることもできない。 
 
 こうしたことから2万ユーロでギリシャの偽造パスポートを購入し、オーストラリアへ向かうイラク人もいる。オーストラリアに入国した際に、難民であると告げるが、オーストラリアでは違法行為となる。彼らは難民拘留所に入れられ、拘束期間は長ければ数年に上る。 
 
 しかし運良く難民ビザを取得し、家族をオーストラリアに呼び寄せた人もいるとの噂がギリシャにも入ってきていることから、今後もギリシャからオーストラリアに向かうイラク人難民が増えると予想されている。 
 
 一方、偽造パスポートの使用が発覚した場合、オーストラリアでは最高で懲役10年の刑となる。そのためギリシャにある国際的な難民保護機関などでは、偽造パスポートでのオーストラリア行きをあきらめるように呼びかけている。 


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