2006年06月03日02時30分掲載
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70歳の“祖母”が犯した異常犯罪 殺人関与の疑いも
高齢化社会を迎えている米国で、70歳を超えた二人の女性が5月中旬、悪質な保険金詐欺に手を染め、逮捕された。女性たちは、知り合ったホームレスの男性二人に多額の保険金をかけ、二人が死亡した後、保険金を受け取っていた。二人の男性の死因はいずれもひき逃げによるもので、事故死として処理されていたが、警察では計画殺人の疑いもあるとして改めて捜査中だ。犯人の女性の一人には複数の孫がいるといわれ、“グランマ(祖母の意)”の起こした犯罪にメディアの関心も高い。(ベリタ通信=苅田保)
逮捕されたのは、米カリフォルニア州のヘレン・ゴーレイ(75)とオルガ・ルッターシュミット(73)の二人。
二人は、ホームレスのポール・バドスさん(当時73歳)とケネス・マクデイビッドさん(当時50歳)にいくつもの保険をかけ、二人が死亡後、保険金計200万ドル(約2億2000万円)をだまし取っていた。
女性二人は、男性とは教会などで知り合った。保険金申し込み書にサインさせる一方、男性をアパートに住まわせ、家賃まで払っていた。アパートに住まわせたのは、男性を“決行の日”まで監視下に置いておくのが狙いだったようだ。
保険金の受取人には、二人の女性が家族やフィアンセなどと偽ってなりすましていた。
バドスさんは1999年11月、マクデイビッドさんは2005年6月ロサンゼルス周辺でひき逃げに遭い、死亡した。
99年の際に、既にある保険金会社が疑いを持ち、保険金の支払いを拒否。裁判沙汰になったが、結局保険会社が敗れている。当時、バドスさんの遺族も、死因に不審を持ち、女性たちを追及したが、うやむやになていた。
しかし、バドスさんの死亡から6年後の昨年、マクデイビッドさんが死亡した。この事件を捜査していた警察が、偶然6年前のケースと極めて状況が似ているため、関心を持ち、これが二人の逮捕のきっかけになった。
警察が二人の動向を監視している最中、74歳の盲目の老人が、この女性たちの罠にひっかかり、生命保険の申し込み書類にサインさせられているのが目撃されている。事件後、保険金詐欺事件のことを警察から知らされたこの男性は、「次は私の番だったようだ」と驚いていた。
警察は、二人の男性が計画的に殺害された可能性もあるとして捜査を進めている。またこれ以外にも別のホームレスの人々が、事件に巻き込まれた可能性もあるという。
容疑者の一人ゴーレイは一時保険会社に勤め、その後不動産の仕事をしたことがある。現在二人の孫があるが、ゴーレイの娘は、母親は何も悪いことはしていないと語っている。これまでに保険金絡みで数十件の訴訟を起こしているという。一方、ルッターシュミットは、ハンガリーからの移民という。
米国では、似たような保険金詐欺事件がアラバマ州で起きている。アルコールや麻薬中毒者7人に多数の保険をかけ、彼らが死亡した後に、計860万ドル(約9億6000万円)の保険金をだまし取ろうとした事件がそれで、犯人の男は2002年に、終身刑の判決を受けている。
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