2006年06月06日06時23分掲載
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米でダイナマイト大量窃盗の怪 686本も何に使うつもりだったのか
米カリフォルニア州でことし5月初め、686本のダイナイマイトなどが鉱山会社から盗まれた。ダイナマイト一本は、優に自動車一台をめちゃくちゃにする破壊力があるだけに、州内に緊張が走ったが、ダイナマイトはその後犯人がさみだれ式に、人目のつく場所に、使用しないまま投げ捨てる奇妙な行動をみせた。犯人は結局、5月末に逮捕されたが、いったいなぜ大量のダイナマイト盗んだのかは、依然謎のままだ。ダイナマイトは大半が回収されたが、残る39本の行方が確認されていないのも気懸かりだ。(ベリタ通信=江口惇)
▼盗んだ爆発物を返還?
米メディアによると、5月3日、同州ビッグ・ベア・シティーにある鉱山会社からダイナマイト686本と、爆薬製造に使用する硝安入りの袋、それに燃料油が盗まれた。地元警察などが捜査していたところ、同月10日、盗難現場から70キロ近く離れた消防署の前で、むき出しになったダイナマイト571本が大型ゴミ箱などに捨てられているのが発見された。
爆薬の違法所持は、連邦法上の「重罪」となるため、連邦政府に属するアルコール・たばこ・銃器取締局(ATF)も捜査に乗り出し、犯人について情報提供をした者に、2万5000ドルの報奨金を出すと公表した。
この後、何者かから捜査当局に密告があり、窃盗犯は現場周辺のモレノ・バレーに住むジョシュア・リー・ゴーン(33)だと告げた。ゴーンは過去に強盗未遂を起こし、保護観察中の身だったが、警察はなぜか犯人逮捕に動かなかった。
571本のダイナマイト発見の翌日の11日、今度はモレノ・バレーの消防署の前で40本のダイナマイトが発見された。
さらにこの3日後の14日には、ダイナマイト36本が入ったバックパックが、乗り捨てられていたトラックから発見された。このトラックは盗まれたものだった。
▼犯人だと警察に通報
この段階で再び何者かが、犯人はゴーンだとタレこみ情報を寄せた。捜査当局も遂に動き、15日に彼のアパートを捜索し、窃盗車両の鍵を押収。また警察犬が爆薬の臭いを自宅にあった道具類から検知した。
ゴーンは逮捕され、取り調べに対し、「爆発物を盗んだ」と供述し、依然回収されていない39本のダイナマイトは、水に濡れて使えなくなったと話した。
しかし、地元警察とATF捜査官との連絡がうまく行っていなかったのか、なぜかゴーンは、翌日に2万5000ドルの保釈金で釈放されてしまった。
ゴーンは案の定、18日に予定されていた裁判所の罪状認否に出廷せず逃走。再び捜査当局がゴーンを追いかける始末になった。
最終的に26日に、窃盗車両を運転していることを警察官に発見され、逮捕された。ゴーンは裁判で有罪になれば、最高で10年の禁固刑になる。
▼麻薬常習者だった犯人
今のところ、ゴーンがなぜダイナマイトを盗んだのか、さらにこれをなぜ人目のつくような形で返したのか、謎が深まっている。さらにゴーンが窃盗犯だと密告したのは誰か。果たして共犯者は存在するのか。不明な点が多い事件だ。
ゴーンの両親によると、彼の人生の転落が始ったのは、覚せい剤におぼれるようになったのが原因という。麻薬とダイナマイトが犯行の動機に何か関係しているのか、今後の捜査を待つしかない。
一方、カリフォルニア州のネバダ州に近い倉庫から5月17日、爆発物が盗まれる事件が起きている。ATF捜査当局は、この事件でも1万ドルの懸賞金をかけ、情報提供を呼び掛けている。今のところ、ゴーンはこの事件とは無関係とみられている。
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