2006年06月08日12時40分掲載
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ガソリン高騰で米国の若者も悲鳴 相乗り組からガソリン代徴収も
米国でガソリン価格の高騰で、クルマ文化に浸ってきた若者の行動にも変化が生じている。若者の娯楽といえば、ダンスパーティー、デート、ショッピング、映画鑑賞などだが、会合の場所などに出かけるのには車が不可欠だ。この車社会の最大の敵は、ガソリン価格の高騰。高値安定になった今、若い世代も自衛策に頭を痛めている。一方、ガソリンの高騰を受けて、燃費の安い小型車やハイブリッド車への人気も高まっている。(ベリタ通信=苅田保)
米サンディエゴ・ユニオン・トリビューンなどによると、ミニスカートの似合うテイラー・パクラーさん(17)は、日産のSUVに乗っているが、ガソリン価格の値上がりで父親から、節約を命じられている。
父親がSUVを買ってくれたのは、事故が起きたときの安全性を考慮したため。これまでは、外出の時は、友人たちを車に乗せ、帰るときも、それぞれの家に送り届けることをしていた。その回数をなるべく減らす必要があるという。
カリフォルニア州では、かつて1ガロン(約3・78リットル)=1・70ドル(約190円)だったガソリン価格が、夏場に入って4ドル近くに値上がりする予想もあり、車好きの若者も、燃料費の高騰に悲鳴を上げている。
同州では16歳から車が運転できるが、両親が車を買い与えても、燃料費は自分でひねり出すよう命じられている若者も多い。高校生にとっては、夏場はアルバイトに精を出す格好の時期だが、スーパーでもアルバイトしても、給料がガソリン代に消えてしまっている。
1ガロン=4ドルは、これまでにない異常な高さで、高校生たちの中には、週末の会合に車を使うだけにして、平日は、なるべく歩いたり、バイクなどを使ってガソリン代を節約している。
▼売れなくなった燃費の悪い車
一部の両親は、外での会合をなるべく減らし、友人たちを自宅に呼んで、車に乗る機会を減らすようアドバイスしている。
またガソリン代を捻出するために、車を持っていない友人たちから、相乗りの際に、ガソリン代の一部をもらって自衛している若者も多い。
一方、ガソリンの高騰で、小型車やハイブリッド車に切り替える人も目立っている。燃費の低いSUVは、人気が低迷しており、その半面、ハイブリッド車などは、注文が増え、なかなか手に入らない状況も生まれている。
メーカー別では、トヨタ、ホンダなど燃費のいい小型車やハイブリッド車が売れ筋になっている。これに対し、大型トラックやバン、SUVは、米環境保護局(EPA)から最も燃費の悪い車にランクされており、燃料価格高騰の時代にあって、かつてほどの人気がなくなっている。
カリフォルニア州南部の自動車ディーラーの話では、こうした傾向は2年前から起きている。中古市場でも1年前に比べ、燃費の悪い車の在庫が目立っているという。
オレゴン州を拠点とする市場調査会社によると、1ガロンが2・75ドル〜3・75ドルに値上がった時点で、米国のユーザーの嗜好が、燃費のいい車に向かって、劇的にシフトしたという。特に最近のガソリン高騰で、ハイブリッド車への関心が一段と高まっている。
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