2006年06月13日08時25分掲載
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【ひと】辺野古の闘いで絵本、絵はがきを製作 元広告マンの村雲さん
沖縄県名護市辺野古の海上米軍基地建設のボーリング強行(2004年4月)に抗議して首都圏32団体が防衛庁前で毎週抗議行動を始めてちょうど2年になる。この「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」(旧「辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会」)の抗議行動には毎週50人を超える人たちが集まる。この抗議行動に2年間、通い続ける一人が村雲司(むらくも・つかさ)さん(61)だ。(東京=加藤宣子)
村雲さんは、毎週、自分で作ったジュゴンパネルを持って、抗議行動の始まる30分程前から現れる。元広告マンの村雲さんは「ちょうど敗戦の年に生まれたから、日本の戦後と同じ 時間を生きてきた。二度と戦争をしてはならないという社会全体の雰囲気の中で幼い日を過ごし、その後も戦後の年月を常に自分の歳と重ねながら、その思い培ってきた。だから、今の日本の流れを黙って見ていることはできない」と話す。
防衛庁前だけでなく、毎週土曜日夕方には新宿西口地下広場でもパネルを持って立ち、抗議の意思表示を続けている。
米軍再編でゆれる今、村雲さんは絵はがき「ジュゴンの海から」を2000部作った。ジュゴンの絵4枚と「辺野古の海を殺すな 沖縄の心を殺すな」というメッセージの5枚セット。辺野古の状況が刻々と変わるので、同封している「ジュゴンの海NEWS」を入れ替えながら、たくさんの人に辺野古のことを伝えていきたいと言う。
村雲さんは04年11月にも辺野古のボーリング用やぐらでの阻止行動を支援するために仲間と絵本「ジュゴンの海から」を制作、これまでに3500部を売り上げて辺野古の闘いにカンパを送った。ジュゴンと沖縄の「にいにい 」(お兄さん)が言葉を交わして命の海をまもる話で、ポイントには注釈を付けて辺野古の状況を分かりやすく解説した。
素朴で親しめるかわいらしいジュゴンの物語が、辺野古のことを詳しく知らない人にも好評を得て、多くの人に買ってもらえたそうだ。原画をスライドにして、障碍者の施設へも出かけ「少しでも辺野古の状況を一般に伝えようと活用した」という。
「60年安保の時も、70年安保の時も、社会全体が政治に注目した。田舎の中学生も中学生なりの意思表示をした時代だった。今は、あの時以上に重要な時期なのに、無関心の人が多いのが残念だ。けれど防衛庁から出て来る人でも会釈してくれる人はいるし、西口(新宿)でも通る人たちが自分たちに関心を寄せてくれる気配は感じている。自分のできることは、とっても小さなことで、なかなか大きな波紋を生み出さないが、ゼロではないと信じて続けて行く」
続けることの大切さを自らに言い聞かせるように村雲さんは語る。
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