2006年06月20日16時02分掲載
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役者は白人ばかりと反発 米黒人団体がTV新作コメディーめぐり
米大手ネットワークの秋の新作コメディー番組をめぐり、全米黒人地位向上協会(NAACP)が、白人優先の作品作りになっていると反発している。コメディー作品には、これまでアフリカ系米国人(黒人)らマイノリティー(少数派)が主要な役柄で登場していたが、この秋の大手ネットワークの作品では、白人が役を独占する異変が生じている。NAACPでは、人口構成を無視した格好の作品作りに不快感を表明、近く大手テレビ局の首脳陣と会談、善処を求める意向だ。(ベリタ通信=苅田保)
最近、大手ネットワークのABC、CBS、NBC、そしてFOXテレビが秋のコメディー番組を発表。このうち、一部の作品には、マイノリティーが脇役で登場するものの、CBSの「クラス」やNBCの「トゥエンティー・グッド・イヤーズ」、FOXの「ハッピー・アワー」などでは、主要な役を白人俳優が独占している。
米紙ロサンゼルス・タイムズなどによると、NAACPのブルース・ゴードン会長は、特に黒人が、四つのネットワークのコメディー作品で重要な役柄を与えられなかったことを憂慮している。近年の歴史では、黒人がコメディー作品で主要な役を演じないのは、初めてという。
大手ネットワークの作品は視聴者も多く、文化的に多方面に影響を与えるため、人種の多様性を考慮した作品作りが、これまで半ば常識化していた。それだけにゴードン会長は、「黒人に主要な役を与えないのは、恥ずべきことだ」と指摘。テレビ局は、番組作りに当たっては人種の多様化を図るという約束を反故にしている、と反発している。
NAACPでは1999年に、大手ネットワークで白人優位の番組作りが行われているとして、キャンペーンを実施。その結果、ハリウッドの映画スタジオでなど作られる作品では、マイノリティーが多数使われるようになってきた。
▼白人が抱える問題ばかりに関心と批判
同会長によると、黒人らがコメディー作品で主要な役割を演じないことは、作品作りに携わる黒人の俳優、監督、放送作家、プロデューサーらが、職を失うことを意味し、黒人の地位向上にも逆行する動きになるという。
ABCの人気コメディーに出演しているメキシコ系米国人のジョージ・ロペスさんは、現在のテレビ局の番組作りを批判し、「テレビ局は、白人の抱えている問題ばかりに関心があり、役者も白人を使っている。こうした傾向は2001年以来、局内で起きている」と述べている。
今の所、一般のドラマ部門では、引き続き黒人らが活躍している。しかし、今秋のコメディー作品で、マイノリティーが、そろって主要な役を演じなくなった理由ははっきりしていない。
NAACPによると、1934年の連邦通信法では、公共の財産である電波の使用者は、人口構成に留意した番組作りをする義務があるという。
FOXテレビでは、俳優選定に当たっては、これまでも人種の多様性を図ってきたと指摘。しかし、新しいシリーズ作品のラインアップなどでは、人種の多様性が満たされないケースが時として起こりうると弁明している。
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