2006年06月21日03時42分掲載  無料記事
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ゴルフカートで用が足せるユニークな米都市 酒酔い運転も増加

 米ジョージア州ピーチツリーシティは、ゴルフ場を中心とした街作りが行われていることで知られる。中でもユニークなのは、車に次ぐ補完的交通手段としてゴルフカートが大量に出回っていることだ。ゴルフカート用の道路が整備され、市の行政区画以内なら、ほぼどこにでもゴルフカートでいろいろな用事を済ませるのが可能だ。電気装置で走るゴルフカートは、車ほどはスピードを出せないので、比較的安全といえる。しかし、最近、市の幹部がゴルフカートを運転中に酒酔い運転で逮捕され、ゴルフカートをめぐる安全論議が活発になっている。(ベリタ通信=有馬洋行) 
 
 ピーチツリーシティは、州都アトランタから南へ約40キロ行った所にある。1950年代に開発業者が“ゴルフシティ”のコンセプトで町開発を進め、市内は、一般道路のほかに、ゴルフカートが走る道路が整備されている。カートが走る道は、一般の人が歩いたり、ジョギングをしたりするのもOKだ。 
 
 ゴルフカートは、最大でも時速30キロ強程度しかスピードが出せない。安全な乗り物と考えられているが、ピーチツリーシティでは近年、事故や事件が多発している。またゴルフカート用の道路から公道に入り込む不心得者もいる。 
 
 2004年には、ビールを6本以上飲んだ、カートの所有者が、盲人に約3キロも運転させ、挙げ句の果てに駐車中の車にぶつける事故を起こしている。05年には、カートを運転していた女性が、ハンドルを切ろうとして路上に放り出され、死亡する事故が起きている。 
 
▼酒酔い運転の逮捕者も 
 
 またことし6月には、市役所の幹部が、酒酔い運転をし、パトロール中の警官に逮捕される不祥事を起こしている。このニュースは、地元紙の一面トップで報じられた。 
 
 この幹部は音楽会に出席した後、ワイングラスを持ちながらゴルフカートを運転し、パトロール中の警官に逮捕された。かなり酔っており、この際、「市警本部長に連絡しろ」と、ごねるシーンもあったという。 
 
 統計をみると、2005年には16件の酒酔い運転が摘発され、また41件のゴルフカート窃盗も起きるなど、犯罪・事故件数が5年前に比べ急増している。 
 
 警察は、引き続きカートによる酒酔い運転を取り締まっていく考えだ。しかし、ゴルフ場ではプレーヤーが、ゲームを楽しみながら、ビールを飲む機会が多いため、厳しい取り締りへの反発の声も上がっている。 
 
 事実、同市長も、ゴルフのゲーム中、カートのコップホールダーにビールを乗せたまま、一般道路を横切って次のホールに移動したことがあることを告白している。市長自らが、ゴルフカートの酒酔い運転の規制にあまり乗り気ではない印象を与えている。 
 
 一方、米紙ロサンゼルス・タイムズなどによると、現在ゴルフカートの使用者は9000人に達している。市の人口は3万6000人なので、市民の4人に1人がゴルフカートを所有している計算になる。 
 
 高校なども駐車スペースが足りないので、車で登校する者には、小型のゴルフカートの使用を奨励している。同市では、15歳からカートを運転するのが許されている。12歳から14歳までも大人の保護があれば、カートの運転は認められている。文字通りゴルフカートが、市民の足として定着している格好で、カートをあまりに規制すると、街の魅力がなくなるとの見方もある。 


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