2006年06月23日11時35分掲載  無料記事
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捕鯨問題

IWCで捕鯨支持の宣言を採択 再開の道のりは遠く

【アデレード23日=木村哲郎】カリブ海のセントクリストファー・ネビスで開催されていた国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会で、24年ぶりに日本を始めとする捕鯨支持派が過半数を獲得した。しかし商業捕鯨再開には加盟国の4分の3の同意が必要なため、「大きな前進」(日本代表団)とはいえ、再開の道のりは不透明なままだ。 
 
 今回の年次総会に先立ち日本は、カンボジア、グアテマラ、マーシャル諸島の3カ国を味方に付けることに成功。逆に捕鯨反対国はイスラエル1国しか新たな参加国を増やせなかったため、24 
年ぶりに捕鯨支持派が過半数に達すると予想されていた。 
 
 しかし年次総会初日に行われた、イルカや小型のクジラをIWCの協議対象から外す決議は、32対30で否決。投票ではデンマークが棄権したほか、捕鯨支持派であるはずのセネガルとグアテマラが会議に遅れて到着したため、投票に間に合わなかったことが響いた。 
 
 また将来的な商業捕鯨再開の是非を問う投票のさいなどに、賛成した国が国際的に非難されることが予想されるため不可欠とされた、同委員会での無記名投票の是非についても33対30で否決が決まった。 
 
 予想外の結果となった日本側は失意を顕わにし、総会に参加した水産庁資源管理部遠洋課の森下丈二捕鯨班長は「会議そのものが時間の無駄だ」とオーストラリアの記者団に答えた。 
 
 しかしセネガルやグアテマラなど「買収されている」と噂される国々の到着により支持派は数を増やし、19日に行われた商業捕鯨の一時禁止の是非に関する宣言では、33対32で支持派が過半数を獲得。公式に商業捕鯨禁止が不必要と認められた。しかし宣言には拘束力がないうえ、商業捕鯨再開には総票数の75%が必要なため実現の道のりは遠い。 
 
 捕鯨派が過半数に達したことについてオーストラリアのイアン・キャンベル環境相は22日、「IWCで長年にわたって行われている慣例の一部は腐敗だと思う」と発言。分担金1万米ドルを総会当日に現金で支払っている国もあり、この現金の出所に疑いが向けられている。 
 
 またセネガルとグアテマラが遅れて会議に到着したことからも分かる通り、捕鯨再開に関心を持っていない国々が、捕鯨支持国の要請により「仕方なく」来ているのでは、とも思われているようだ。 
 
 総会は20日に閉幕し、日本の森本稔政府代表が副議長(任期3年)に選ばれた。 


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