2006年06月27日10時29分掲載
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【ワールドカップ便り】「ベルリンに行くぞ!」16年ぶりの決勝進出に向けて沸き上がるドイツ
ドイツ人がサッカー好きだと知ってはいたが、これほどとは知らなかった。ワールドカップ・ドイツ大会の盛り上がりは、日に日に高まるばかり。デパートもレストランもどこもかしも、サッカーのデコレショーンだらけ。各国代表のTシャツが飛ぶように売れ、ドイツの黒、黄、赤のモチーフを使ったTシャツや帽子、腕輪が街にあふれている。普段着が「3色旗」の人が続出し、普通のおばさんがドイツのTシャツを着て会社にいっているのだからすごい。(ハノーバー=田口理穂)
ハノーバーには4万9000人収容のサッカースタジアムがあり、5試合が行われる。スタジアムそばの広場には、巨大スクリーンが設置され、2万人が無料で立ち見できる。ネットで応募したが、全く当たらなかった筆者は会場に入ることはできず、スタジアム周辺をうろうろしたり、大スクリーンで観戦している。それでも雰囲気満点。いや街中がサッカー一色なのだ。バーやカフェでもテレビを設置し、どこでも観戦できる。
23日はハノーバーでスイスVS韓国戦が行われた。5万人のスイス人が大挙して押し寄せたという噂どおり、街は赤地に白の十字であふれていた。国旗をマント代わりにした韓国人も多く、太鼓を叩いて盛り上げた。ハノーバー市のクイズで入場券を当てたドイツ人の友達が、観戦に行ってきた。スイス人も韓国人も赤がトレードマークとあって、客席は赤一色だったという。ファンの熱狂ぶりは底なしで、大音響のコンサートのようだったと話していた。
ドルトムントでの日本VSブラジル戦を観戦した日本人の友人によると、日本が先制点を入れたとき、「よかったね」というふうにブラジル人が日本人ファンに向かって拍手をしてくれたという。ブラジルの余裕か。結局日本は決勝トーナメントに進めなかったが「ゴールキーパー(川口能活)が格好いい」と、いろんな人から言われた。
人気がある分、ダフ屋も多い。別の友人はメキシコVSアンゴラ戦の会場前で声をかけられ、45ユーロ(1ユーロは約150円)のチケットを500ユーロでつい売ってしまった。「ダフ屋の鞄には札束がいっぱい入っていて偽札かと思った」と話す。実際、席に着いたのはメキシコ人。せっかく地球の裏側から来たのだから、会場に入るためならいくら高くても勝ってしまうのがファン心理か。いったいいくらだったのだろう。
一方、観客同士の交流が生まれるのも、ワールドカップの楽しいところ。一緒にサッカーを見るだけで連帯感が生まれ、ゴールが入ると心から喜ぶ。同じ国のTシャツを着ている人には大声で挨拶をする。ドイツが勝った日は夜遅くまで、クラクションを鳴らした車が走り、あちこちで勝利を祝う声が響く。この開けっぴろげな大賑わいはどこからくるのか。サッカーでの勝利がドイツ人としての自信や愛国心、一体感を高めるのだろうか。
1990年のワールドカップでドイツは優勝したが、当時は東西ドイツが統一したばかりでおおっぴらに喜べる雰囲気ではなかった、と雑誌にも書いてある。今はただ楽しんでいいということか、それとも国内不況の昨今、つかの間の憂さ晴らしとなっているのか。
8強入りを決めた今、ドイツの合言葉は「ベルリンに行くぞ!」7月9日の決勝はベルリンで行われるため、何かというとこの言葉が飛び出る。しかし今回は本当にベルリンに行けるのではないか。行ったところを見てみたい。ドイツ中が熱狂している場面を。
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