2006年07月03日13時27分掲載
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瀕死の女子高生を撮影、無神経な対応に驚き
米カリフォルニア州の住宅街で夜、突然銃声が響いた。その後、叫び声が上がり、近所の人たちも「何事か」と、外に飛び出した。彼らが見たものは、住宅の車道に倒れている15歳の女子高生だった。彼女は、身動きせず、瀕死の状態であることは明らかだった。住民たちが、さらに驚いたのは、その彼女の姿をカメラ付きの携帯電話で撮影している若者たちがいたことだ。救助を優先させずに、写真を撮る無神経な対応に、驚きが走っている。(ベリタ通信=有馬洋行)
米紙プレス・エンタープライズなどによると、事件が起きたのは、6月10日の夜。カリフォルニア州モレノバレーにある住宅で、中学校の卒業パーティーが、開かれていた。十代や、20代前半の若者約20人が出席していた。パーティーも佳境に入っていた頃、出席者の間で口論が起きた。喧嘩の理由はわかっていないが、その後、何者かが銃を発砲。付近の住民の話では、10発の銃声が聞こえたという。
この際、流れ弾が近くの住宅にも飛び込んでいる。間もなく、近所の人たちが、車道に倒れている高校1年のブルーク・ニコル・マッキニーさんを見つけた。その彼女の周りでは、5人から8人の若者が、カメラ付きの携帯電話で撮影をしている最中だった。
撮影していたのは、パーティーに出席していたと若者とみられている。彼らは、住民の目撃されると、現場から一目散に去っている。ブルークさんと出席者との関係ははっきりしていない。
警察が現場に到着したころには、野次馬も集まり、心肺停止状態のブルークさんに蘇生術を試みる警察官に対し、「少女を助けろ」と興奮して、警察官に対しけりつける者まで出るなど、現場は一時緊迫した状態になった。
▼顔を近撮する無神経
目撃住民の1人は、瀕死の少女を前にして、携帯電話で写真を撮る若者について「情けなくなる」と嘆いている。若者たちは、携帯のレンズをブルークさんの顔の近くにまで近づけて撮影していた。
ロサンゼルスにあるサウスウエスタン法科大学院のロバート・パグスレー教授は、写真を撮る若者たちを、死肉をあさるハゲワシのようなものだと批判している。しかし、写真を撮ることは自体は、違法ではないという。
ブルークさんは病院に運ばれたが、間もなく死亡した。このパーティーに出席していた14歳の少年も肩に銃弾を受け、負傷している。
警察で捜査を進めているが、パーティーが行われていた住宅の住人は、メディアからの取材を拒否するなど、事件の解明が遅れている。
警察では、写真を撮った者に対し、名乗りを挙げるよう呼びかけている。今のところ、ブルークさんが当初から標的になっていたのか、あるいは偶然事件に巻き込まれたのかはっきりしてない。
ブルークさんは、小さい頃からおば夫婦によって育てられてきた。将来の夢はダンサーになることだったという。麻薬を使ったり、酒を飲むような友達とは付き合いがなかったといわれる。おじのランディ・ウオルターズさんは、犯罪を犯した者には、神の審判が下るだろうと話している。
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