2006年07月05日13時47分掲載
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地球温暖化、米政権は依然対策に消極的
大気中の二酸化炭素などの量が増えることによって起きる地球温暖化が、大きな関心を呼んでいる。大型ハリケーンの発生や氷河の減少などについて、多くの学者、研究機関が警鐘を鳴らしている。自然の生態系にも変化が生じるといわれ、山火事の多発も懸念されている。しかし、世界の経済、軍事大国といわれる米国のブッシュ政権は、地球温暖化対策に消極的で、リーダーシップを発揮していない。最近、一流の学者が参加する全米科学アカデミーも、地球温暖化には人間の活動が影響しているとの報告書をまとめたばかりだが、ブッシュ大統領の腰は依然重い。(ベリタ通信=江口惇)
低気圧の影響で米国の首都ワシントン周辺が26日、大雨に見舞われた。ブッシュ大統領が執務を執るホワイトハウスの前庭にある樹齢100年の楡の木も強風で倒れた。ハリケーンや大雨は、気候変動と関係していると多くの科学者が指摘しているが、記者団は同日の大雨に関連して、ブッシュ大統領に地球温暖化問題について質問した。
米メディアによると、記者団は、2000年の大統領選挙を争った民主党候補のゴア元副大統領が出演するドキュメンタリー映画「インコンビニーエント・トゥルース」(仮訳・都合の悪い真実)に言及しながら、次のように切り込んだ。同映画は、地球温暖化を強く警告した内容だ。
記者団──ゴアの新作を観る予定はないと言ったのは承知している。しかし、地球温暖化は、地球にとって重大な脅威との前提には同意するか。
大統領──地球温暖化は重大な問題だと常々言っている。(しかし)それが人為的なものか、自然のなせるものかは、議論が分かれている。
ノーベル賞受賞者も参加する全米科学アカデミーが、地球温暖化は「人為的なものの可能性が高い」と認定しても、地球温暖化は自然のサイクルが原因と主張するブッシュ大統領は、まだ同アカデミーの見解にも、すんなり同調できない様子だ。
▼科学無視の批判
ブッシュ大統領は、二酸化炭素の排出量を規制する京都議定書については、米国経済への影響が大きいとして批判するなど、環境問題では孤立した道を歩んでいる。
同アカデミーの報告に対しても懐疑的な大統領の姿勢に対し、オンラインのブログなどでは「科学を無視するものだ」との批判の声も上がっている。
一方、米誌パレードによると、地球温暖化は既に進行しており、気候変動の影響は無視できなくなっていると警告している。
同誌は、2005年に米南部が超大型ハリケーン「カトリーナ」に襲われたように、気候変動は「大量破壊兵器」になると指摘。洪水、干ばつ、熱波などにより、人間の生活は大きな影響を受けるとしている。
また気温の上昇で、蚊の大量発生のほか、触るとかぶれるウルシが広範に生育するようになるという。また甲虫の爆発的発生で、米カリフォルニア州南部では、樹木が枯れる状態になる。この結果、山火事が起きやすくなるという。
このほか、アフリカの最高峰キリマンジャロの頂上付近の氷河も、今後15年以内に解けるといわれている。
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