2006年07月22日15時01分掲載
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中東
「息子のイラク参戦拒否に支持を」 米軍現役将校エレン・ワタダ中尉の母が公開書簡
米軍の現役将校、エレン・ワタダ中尉は今年1月、不法な戦争に、戦争遂行に際しての偽りに、政府の不法行為に反対であるとして、除隊を申し出たが許されず、6月7日に声明(注)を公表しイラクへの移動命令を拒否した。ハワイ出身の日系米国人である同中尉は7月5日に高等軍法会議に起訴され、移動命令不履行、ブッシュ大統領他の上官に対する侮辱行為、将校にあるまじき無作法行為などにより、7年の刑に処せられる可能性がある。息子の行動を支持する母親キャロライン・ホーさんが、イラクからの撤兵を求める米国市民に宛てた公開書簡を紹介する。(TUP速報)
違法な戦争に抵抗するエレン・ワタダ中尉の母親からの公開書簡
キャロライン・ホー
2006年6月22日(木)
私は、フォート・ルイス基地配属の一将校、エレン・ワタダ中尉の母親です。息子はイラクに向けて今日出発したストライカー旅団に属しています。部下の皆さんとの強い絆をもちながらも、また民主主義の理念を深く信奉しながらも、息子は部下とは行動を共にしない、という道を選びました。息子がそのように決めたのは、熟慮を重ね、軍部・政府部内や在野のいろいろな分野のエキスパートの方がたと検討し相談した末のことでした。
息子は、確かな事実を検討吟味した結果、民主主義の名の下に残虐行為の数かずが行われている今、もう黙っていることはできない、という結論に至ったのでした。欺瞞や虚偽を使って一方的に仕掛けた戦争を正当化するような政権の手先に留まっていることは、もはやできなかったのです。
国軍の一員として、アメリカ合州国憲法を遵守すると誓った息子は、侵略戦争に、国民としての私たちの立場を掘り崩すような国際法を侵犯する違法な戦争に、盲目的に加わることを拒んでいます。将校としての宣誓に暗に込められているのは、違法な命令にはいかなる命令にも服しない、ということです。なぜなら、そのような命令を実行すれば、犯罪行為の加担者となってしまうからです。さらに、侵略戦争に参加するよう部下に命じれば、罪は千倍にも重くなります。息子の良心がそんなことを自分にさせるわけがありません。息子は、この戦争に反対の立場を取り続けることによってこそ、部下に最も良くつくすことができるのだ、と信じているのです。そのように行動することによって、軍隊においてさえ、正しいことを選び取る自由を放棄しない者が居ることを、何が正しいのかを選び取る自由は、人間や組織に対する忠誠を超越するものだということを、息子は行動で示しているのです。
一人の母親としては、息子の安全と将来が心配でしたが、起こったこと全てにより高い目的があるのだ、ということが分かるまでに今はなりました。私の息子はもはや十字路に立ち止まってはいません。息子は「人のあまり行かない道」を選んだのです。何が起ころうと、敢然とその道を歩み続けます。
エレン・ワタダ中尉への支持をご自身で確かめるために、6月27日の全国行動日にお出かけください。この日、全国で多くのグループが平和なデモ、祈祷会、キャンドルライトビジル、パレード、ビラまき、新兵募集事務所を訪問して応募者に助言する、などなどを行います。詳細については各地の主催団体にお問い合わせください。
(翻訳・寺尾光身/TUPスタッフ)
*注:声明の日本語訳は例えばhttp://list.jca.apc.org/public/aml/2006-June/007201.html にある。
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