2006年08月07日00時51分掲載  無料記事
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ぜひ「ボンド・ガールに」が騙しの手口 危険潜む芸能界

  華やかな米芸能界の周辺では、女優やモデル志望の女性たちをだまして、餌食にしようとする怪しげな人物が多数徘徊しているという。3年前、映画の都ハリウッドで、偽の映画制作者が、007シリーズに出演する“ボンド・ガール”を探しているとだまし、21歳の女性を絞殺する事件があった。この事件は物的証拠がなく、立証が難しかったが、犯人の男が7月に有罪を認めたため、9月に量刑が宣告される見通しになった。あるベテラン写真家は、この世界では、女性を食い物のする者が多いので、うかつに信用しないようにとアドバイスしている。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 米メディアによると、2003年2月、米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊のハリウッドで、若い女性の絞殺死体が発見された。黒のミニスカート、それにかかとが極端に細いヒールを履いていた。その後の調べで、ミシガン州出身で女優志望のクリスティーン・ジョンソンさん(21)と判明した。 
 
 その1カ月前、クリスティーンさんは、ルームメートにハリウッドの映画制作者に会いに行くといったまま消息を絶っていた。クリスティーンさんは生前、ショッピング街でスカウトされたと話していた。身長173センチ、体重56キロで、芸能界で働くのが夢だった。 
 
 捜査当局の調べで、この偽の映画制作者は、車の窃盗などの前歴のあるビクター・パレオログス(44)とわかり、第1級殺人罪で起訴された。パレオログスをクリスティーンさんと結びつける有力な物証はなかったが、検察側は、裁判で、パレオログスから同じようにモデルのスカウトを受けていた女性らを証人として出廷させた。 
 
 女性たちは、パレオログスから007の映画出演のオーデションを受けるよう持ちかけられていたと証言。またその際には、白のドレスシャツに黒のミニスカート、それにかかとが細いヒール姿で来るよう指示されていたと語った。 
 
▼薬物を飲ませる手口も 
 
 殺害されたクリスティーンさんも同じような服装をしていた。さらに裁判では、1991年にパレオログスが映画関係者と偽って、女優志望の女性をスカウト。その後、出演交渉のふりをして、女性に薬物を飲ませていたことも明らかになった。 
 
 第一級殺人罪で有罪になれば、死刑は免れない。しかし、検察側と司法取引に応じ、自ら進んで有罪を認めれば、罪一等が減じられて死刑は避けられる。パレオログスはこの道を選んだ。9月の量刑宣告では、最高で終身刑になる見通しだ。 
 
 一方、カリフォルニア州では、20年以上も前に、写真家を名乗る男からモデルになるよう誘われた21歳と15歳の女性が、相次いで殺害される事件が起きている。男は現在死刑囚として収監されているが、同州ロサンゼルス郡保安官事務所は最近、男が20年前に撮影したモデル54人の写真を一般公開し、この中に殺害されたものがいないかを調べるため、一般からの情報提供を呼び掛けている。 
 
 あるベテラン写真家は、モデルに誘われたら、写真家に対し、それまでの写真集を見せるように要請したりして、被害に遭わないよう自衛策を講じるよう助言している。 


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