2006年08月28日15時15分掲載
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母親を射殺し冷凍庫に隠す 犯罪捜査官志望の18歳の息子
米ユタ州で18歳の息子が母親を射殺し、冷凍庫に死体を隠していた事件が起きた。息子は事件後、母親の車に乗って他州に逃げていたが、遺体発見後の2日後にモンタナ州のモテルに投宿しているところを捜査官に逮捕された。ことし高校を優秀な成績で卒業したばかりで、今秋には大学に進学し、犯罪科学捜査を勉強する計画だったという。しかし、凶悪事件を起こしたことで、大学の進学はおろか、将来の人生設計も大きく狂うことになった。(ベリタ通信=江口惇)
米メディアによると、逃走していたのはジェレミー・ホックで、8月9日に逮捕され、11日に殺人罪や車の窃盗の罪で起訴された。今後モンタナ州から事件の起きたユタ州に身柄が移送される見通しだ。
ジェレミーは、母親のローラさん(52)とユタ州のマンションに住んでいたが、ローラさんの親戚が8月4日に電話でローラさんと話をしたのを最後に、二人と連絡が途絶えた。このため、親戚が警察に対し部屋の中を捜査するよう依頼を出した。
警官が7日に寝室の窓から内部に入ったところ、ベッドに血痕が付着しており、拳銃の薬きょうが落ちていた。床には、ベッドから冷凍庫まで遺体を引きずったのか、ほうきで掃いたような血痕跡が残っていた。
冷凍庫を開けたところ、中にローラさんの死体が入れられていた。冷凍庫は高さ90センチ、幅60センチで、遺体は冷凍状態になっていた。
検視官事務所は証拠保全のため、遺体を冷凍庫に入れたまま、部屋から運び出し、死因を調べた。その結果、頭部にニ発の銃弾が撃ち込まれ、首が切り裂かれていたことが判明した。しかし、現場に落ちていた薬きょうは、撃ち込まれた銃弾とは一致しなかった。
警察は、犯行が起きたのは4日と推定し、殺害された後、遺体が冷凍庫の中に入れられたものと断定した。
警察がさらに調べたところ、ライフル銃の弾が詰まったボックスが空になっているのが見つかった。またローラさんの車が現場からなくなっていることから、一緒に暮らしていたジェレミーが、車に乗って姿を消したとみて行方を追った。
一時、自殺する恐れもあると心配されたが、遺体発見2日後の9日にモンタナ州のモテルに投宿しているところを発見され、逮捕された。特に抵抗もみせず、おとなしく逮捕に応じた。拳銃やライフル銃、それにナイフを所持していた。
今のところ、犯行の動機はわかっていない。ローラさんはモンタナ州出身で、2年前にユタ州に移ってきていた。夫とは離婚している。ローラさんの親類の話では、ジェレミーとの間で特に問題はなかったという。
ジェレミーは地元の高校を優秀な成績で卒業している。近所の人の話では、大学で科学捜査を勉強する計画で、将来の夢は、犯罪科学捜査官になることだったという。
しかし、ジェレミーは、人付き合いがあまりうまくなく、ほとんど友達を持っていなかった。現実の世界にうまく適応できない弱さがあったとされる。科学捜査を学び、犯罪捜査の職に就くのが夢だったジェレミーだが、今回の事件で、逆に「犯罪者」の立場に立たされることになった。
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