2006年09月06日15時17分掲載
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苦戦続く香港ディズニーランド 無料入場券で客数水増しも?
【香港6日=富柏村】9月12日に開園1周年を迎える香港ディズニーランド。「中国で初のディズニーランド開園」と開園前の盛り上がりに比べ、開園後は敷地の狭さと施設の貧弱ぶり、入場者のマナーの悪さ、混雑時の入場制限などマイナスイメージがつきまとった。香港ディズニーランド側はその悪いイメージの払拭に懸命になったが、十分な成果を上げられないまま1年を迎えた。
4日、香港ディズニーランドの社長ビル=アーネスト氏は記者会見で、開業1年での総入場者数は500万人、初年度目標とした560万人は1ヶ月遅れで達成できる見通し、と初めて発表した。ただし、開業前に「入場料は一切の割引や優待もしない」と豪語していたが、開園後入場者数が伸びないため数々の優待措置を実施。揚げ句の果ては職員やタクシードライバーなどに無料入場券を配り、この500万人にはそういった無料入場者も含まれている。
開業当時に比べ家族連れの入場者数が2割から4割へと倍増していることで、今後は地元客を中心に家族連れのリピーターの増加に期待しているが、貧弱な施設に「一度行けばじゅうぶん」という声が大半で、リピーターの増加は期待できない。
90年代、中国初のディズニーランド建設は、97年の中国回帰を目前にした香港と、中国の最大都市・上海の間で激しい誘致合戦が繰り広げられ、香港はインフラの充実と香港政府による土地の提供や埋立て、運営会社に230億香港ドル(約3300億円)の拠出などを条件に誘致に成功した。ディズニーランド側は、いわば器の出来たところに料理を盛りつけるだけのリスクだった。
05年9月に香港ディズニーランドは華々しく開業したが、ディズニーランドの米国本社の経営陣は、香港での開園式典から、その足で上海に向かい将来のテーマパーク建設の視察。それに続き数々のマイナスイメージの露出が続いた。
香港ディズニーランド側は施設の充実や入場者数の今後の伸びへの期待を強調し、初年度は赤字でも潤沢な資金があり問題ない、とするが、香港ディズニーランドに融資する銀行団の間では、低迷する入場者数=収入減を理由に融資返済契約の見直し(早期返済)も噂されている。
仮に将来、経営困難で閉園となった場合、ディズニーランド側は「引き揚げ」で、土地造成から資金提供を続けた香港政府ほど大きな痛手はない。上海など他でのテーマパーク経営という次なる利益がある。米国のディズニー本社にいいように扱われ、「香港のポスト97年での観光産業の目玉」「中国からの観光客の誘致には必須」として多額の公金資金を投入決定した香港政府の責任が問われるべきだが、当時の政策決定者に責任を追求することもできない。結果、税金をドブに捨てられた香港市民が損をして終わり、なのだろうか。
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