2006年09月07日19時45分掲載
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米で11歳のベビー・シッターを拘束 義妹を殴打し死亡させた疑い
小さい子どもを自宅に残して外出することは、時として起きるが、親にとっては大変勇気のいることだ。小さい子どもに、幼い弟や妹の面倒をみさせて外出するような場合になれば、不安は増幅する。最近、米カリフォルニア州で起きた5歳の幼女死亡事件は、11歳の少女が、妹のベビー・シッター(子守り)をしているうちに、殴って死亡させた疑いが濃くなっている。捜査当局は今のところ、外出していた父親について刑事責任を問う考えはないとしているが、事件を契機に、米国で盛んに行われているベビー・シッターの在り方をめぐり、議論が広がっている。(ベリタ通信=苅田保)
米メディアによると、サンディエゴ郊外で8月25日夜、武術テコンドーの指導者アール・テイラーさんが自宅に帰宅したところ、11歳の娘から、5歳の妹が呼吸をしていないと告げられた。11歳の娘と5歳の妹とは、異母妹の関係という。
テイラーさんは蘇生術を試みる一方、「911」(警察・消防)に通報した。5歳の娘は翌日、収容先の小児病院で死亡した。頭に負傷していたという。同日、11歳の娘が、警察の殺人課の刑事に、妹と争ったことを認めた。けんかの理由は不明だが、少女は未成年の収容施設に送られた。
米国では、子どもの保護を怠った両親は、時として厳しく処罰される。幼い子どもを車に残してショッピングセンターにちょっと買い物と考えても、カリフォルニア州法では違法行為であり、処罰の対象になる。
▼ 父親の責任論浮上
今回の事件でも、父親の責任論が浮上した。しかし、幼い子どもにベビー・シッターをさせることについては、明確に禁じる州法は存在していないという。
事件が表面化した後、テコンドー道場に通っている生徒の保護者から、父親に責任はないとの声が上がった。道場には150人の生徒が通っているが、ある保護者は、無責任な人物なら、自分の子どもを道場に預けたりしないと父親を弁護した。
テイラーさんは現在独身だが、ほかに6歳の息子がいる。事件当日は、11歳の少女に2人のベビー・シッターを頼んで外出していた。妹と何が原因で争いが起きたかはわかっていない。11歳の少女は7月から父親と住み始めたという。
米国では、ティーンの子どもたちを中心にベビー・シッターが人気を呼んでいる。高校生や中学生にとって、格好の小遣い稼ぎになるからだ。米国赤十字では、11歳以上の子どもを対象に、ベビー・シッターの研修クラスを開講し、応急時の処置方法など、基本的な人命救助のやり方を有料で教えている。
子どもに働いて報酬を得ることの意味を学ばせる方法としては、ベビー・シッターは格好の教材だ。今回の少女の死亡事件で、責任の取れるベビー・シッターの年齢はいくつかなのかとの議論が起きた。しかし、年齢でこれを区切るのは無理のようだ。
ある専門家は、11歳の子にベビー・シッターを任せても大丈夫な時もあるが、これまでに16歳のベビー・シッターの少女でも、まったく子どもの面倒を見ないケースもあったと指摘。要は年齢ではなく、精神的な成熟度の問題だとしている。
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