2006年09月14日16時11分掲載
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米男性、良心の呵責で19年前の殺害告白 警察は完全にノーマーク
米国では殺人罪に時効はないが、19年前に起きた殺人事件を自ら自供し、15年以上の禁固刑に処せられた男がいる。19年前のある日、バーで女性と知り合い、彼女のアパートへ行った。しかし、そこで覚せい剤を摂取したため、人格が急変し、女性を殺害して逃走した。その後電気技師として働いていたが、宗教を通じて罪を深く悔い、遂に犯人だと名乗りを上げた。警察は、その男については完全にノーマークだったため、突然の犯人出現に驚いたという。(ベリタ通信=江田信一郎)
米メディアによると、男は、米海軍勤務の経験があるルイス・ボスティック(45)。1987年5月28日、ボスティックは海軍の休暇で、米カリフォルニア州ロサンゼルスに近いハンチントンビーチに来ていた。彼は当時26歳だった。
そこのバーで、ルイスは、26歳のジャミー・ビッテリさんと知り合った。彼女のアパートに招かれたが、覚せい剤を摂取した後、シャンペン・ボトルでビッテリさんの頭を殴り、その後、彼女の首をかき切った。
翌日ビッテリさんの遺体が見つかった。88年に建設労働者が逮捕されたが、立件されなかった。
ルイスは軍勤務の後、民間会社で電気技師などとして働いた。しかし、若かりしころに犯した罪に苦しんでいた。
数年前から、心の救済を宗教に求めるようになった。キリスト教、仏教を学んだ。仏教寺院を訪れたり、またさまざまな宗派の関係者と話を交わした。
アルコール上の問題もあったため、立ち直りのためのプログラムにも参加した。当時は西海岸のワシントン州に住んでいたが、遂にビッテリさん殺害を自白することを決意した。
2005年、アパートをたたみ、トラックで殺害現場となったハンチントンビーチに向かって出発した。しかし、現地にたどり着く前に、自首することを決意。同年8月、カリフォルニア州北部のレッディングで、電話帳を開いて米連邦捜査局(FBI)の現地事務所を見つけ、自ら赴いた。
しかし、FBI事務所は、名目だけで人はいなかった。このため現地の牧師に頼んでレッディングの警察に連絡してもらい、ビッテリさん殺害を自白した。
▼すすり泣き、改悛示す
ところが、レッディングの警察は本人の話だけでは、逮捕もできず、ハンチントンビーチの警察に通報。二日後、現地を訪れた刑事たちが、ルイスとハンバーガー店であった。そのとき、スイスは、すすり泣き、強い改悛の情を示したという。
警察は、ルイスについてまったく情報を持っていなかった。しかし、ルイスが犯人にしか知りえない現場の状況を告白したため、遂に殺人事件として立件した。
ルイスの弁護士は、彼を犯人とする証拠はまったくないことから、有罪を自ら認める必要はないと説得したが、ルイスはこれにはまったく関心を示さなかったという。弁護士は、これほどまでに罪を悔いている人間にあったことがないと話している。ルイスは結婚しておらず、また子どももいない。
9月5日の判決で、裁判所から15年以上の禁固刑が宣告された。仮釈放になるためには、10年間服役する必要がある。検察関係者は、彼については、完全にノーマークだったため、もしルイスが自首しなければ、彼はそのまま自由の身でいられただろうとしている。
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